平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

感想

佐々木譲『暴雪圏』(新潮文庫)

暴雪圏 (新潮文庫) 作者:譲, 佐々木 新潮社 Amazon 三月末、北海道東部を強烈な吹雪が襲った。不倫関係の清算を願う主婦。組長の妻をはずみで殺してしまった強盗犯たち。義父を憎み、家出した女子高生。事務所から大金を持ち逃げした会社員。人びとの運命は…

夕木春央『十戒』(講談社)

十戒 作者:夕木春央 講談社 Amazon 浪人中の里英は、父と共に、伯父が所有していた枝内島を訪れた。島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちてい…

米澤穂信『折れた竜骨』(東京創元社 ミステリ・フロンティア)

折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア) 作者:米澤 穂信 東京創元社 Amazon ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニ…

ホリー・ジャクソン『卒業生には向かない真実』(創元推理文庫)

卒業生には向かない真実 自由研究には向かない殺人 (創元推理文庫) 作者:ホリー・ジャクソン 東京創元社 Amazon 大学入学直前のピップに、ストーカーの仕業と思われる不審な出来事がいくつも起きていた。無言電話や匿名のメールが届き、首を切られたハトが家…

フェルディナント・フォン・シーラッハ『コリーニ事件』(創元推理文庫)

コリーニ事件 (創元推理文庫) 作者:フェルディナント・フォン・シーラッハ 東京創元社 Amazon 67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。被害者は大金持ちの実業家で、事務所を開いたばかりの新米弁護士ライネンは国選弁護人を買ってでる。だが、…

井上悠宇『不実在探偵の推理』(講談社)

不実在探偵の推理 作者:井上悠宇 講談社 Amazon 「彼女は実在してる。存在が不確かなだけで、ずっと僕の傍にいるんだ」 大学生の菊理(くくり)現(うつつ)が思い出のダイスに触れた途端、長い黒髪に白いワンピースの美しい女性が見えるようになった。現にしか…

米澤穂信『可燃物』(文藝春秋)

可燃物 (文春e-book) 作者:米澤 穂信 文藝春秋 Amazon 群馬県警利根警察署に、4人が遭難したと通報があった。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、崖の下に転落した水野正と後東陵汰が発見された。水野は救急搬送されたが、後東は頸動脈を刺されて失血死…

D・M・ディヴァイン『すり替えられた誘拐』(創元推理文庫)

すり替えられた誘拐 (創元推理文庫) 作者:D・M・ディヴァイン 東京創元社 Amazon ブランチフィールド大学には問題が山積していた。入学者数の減少、窃盗の容疑者である学生の除籍処分に対する抗議運動、その上新たに、講師と交際している問題児の学生バー…

藤崎翔『逆転美人』(双葉文庫)

逆転美人 (双葉文庫 ふ 31-03) 作者:藤崎 翔 双葉社 Amazon 美人に生まれたのは罪ですか――? 抜群の美貌のせいで幼少期から何度も犯罪やいじめの被害に逢い、不幸ばかりの人生を歩んできたシングルマザーの香織(仮名)。とうとう娘の学校の教師にまで襲われ…

五十嵐律人『魔女の原罪』(文藝春秋)

魔女の原罪 (文春e-book) 作者:五十嵐 律人 文藝春秋 Amazon 法律が絶対視される学校生活、魔女の影に怯える大人、血を抜き取られた少女の変死体。一連の事件の真相と共に、街に隠された秘密が浮かび上がる。 僕(宏哉)と杏梨は、週に3回クリニックで人工透…

グリン・ダニエル『ケンブリッジ大学の殺人』(扶桑社ミステリー文庫)

ケンブリッジ大学の殺人 (扶桑社ミステリー タ 9-1) 作者:グリン・ダニエル 扶桑社 Amazon ケンブリッジ大学が明日から長期休暇に入るという夜、フィッシャー・カレッジ内で門衛が射殺された。副学寮長のサー・リチャードは、一見単純に見える事件に複雑な背…

杉井光『世界でいちばん透きとおった物語』(新潮文庫nex)

世界でいちばん透きとおった物語 (新潮文庫 す 31-2) 作者:杉井 光 新潮社 Amazon 衝撃のラストにあなたの見る世界は『透きとおる』。 大御所ミステリ作家の宮内省吾が死去した。宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくってい…

早坂吝『しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人』(光文社)

しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人 作者:早坂 吝 光文社 Amazon 「六つの迷宮入り凶悪事件の犯人を集めた。各人に与えられた武器で殺し合い、生き残った一人のみが解放される」。女名探偵の死宮遊歩は迷宮牢で目を覚ます。姿を見せないゲームマス…

佐々木譲『制服捜査』(新潮文庫)

制服捜査 (新潮文庫) 作者:譲, 佐々木 新潮社 Amazon 札幌の刑事だった川久保篤は、道警不祥事を受けた大異動により、志茂別駐在所に単身赴任してきた。十勝平野に所在する農村。ここでは重大犯罪など起きない、はずだった。だが、町の荒廃を宿す幾つかの事…

青木理『絞首刑』(講談社文庫)

絞首刑 (講談社文庫) 作者:青木 理 講談社 Amazon 国家の名のもとに命を奪う「死刑」。著者は、数々の証言から執行現場を再現し、実際に起きた5つの事件を再取材しながら処刑に至る道程を検証する。なかでも、1994年に発生した、いわゆる「木曽川・長良川連…

白井智之『そして誰も死ななかった』(角川文庫)

そして誰も死ななかった (角川文庫) 作者:白井 智之 KADOKAWA Amazon 覆面作家・天城(あまき)菖蒲(あやめ)の招待で、絶海の孤島に建つ天城館に集まった5人の推理作家。しかし館に主の姿はなく、食堂には不気味な5体の泥人形が並べられていた。不穏な空気が漂…

佐々木淳子『SHORT TWIST 佐々木淳子傑作選』(幻冬舎コミックス)

SHORT TWIST佐々木淳子作品集 (バーズコミックススペシャル) 作者:佐々木 淳子 幻冬舎コミックス Amazon 子供の頃から、時々記憶が飛んでしまうことのある高校生の操。どうやら、記憶のない間も時間は流れ、知らない自分が行動しているらしい。ある日、操の…

ミシェル・ビュッシ『恐るべき太陽』(集英社文庫)

恐るべき太陽 (集英社文庫) 作者:ミシェル・ビュッシ,平岡 敦 集英社 Amazon 画家ゴーギャンや歌手ジャック・ブレルが愛した南太平洋仏領ポリネシアのヒバオア島。謎めいた石像ティキたちが見守るこの島に、人気ベストセラー作家と、彼の熱烈なファンでもあ…

ジョン・ハート『川は静かに流れ』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:ジョン・ハート 早川書房 Amazon 「僕という人間を形作った出来事はすべてその川の近くで起こった。川が見える場所で母を失い、川のほとりで恋に落ちた。父に家から追い出された日の、川のにおいすら覚えてい…

D・M・ディヴァイン『三本の緑の小壜』(創元推理文庫)

三本の緑の小壜 (創元推理文庫) 作者:D・M・ディヴァイン 東京創元社 Amazon 夏休み直前、友人たちと遊びに出かけた少女ジャニスは帰ってこなかった――。その後、ジャニスはゴルフ場で全裸死体となって発見される。有力容疑者として町の診療所に勤める若い…

若竹七海『不穏な眠り』(文春文庫)

不穏な眠り (文春文庫) 作者:若竹 七海 文藝春秋 Amazon 葉村の働く書店で〈鉄道ミステリフェア〉の目玉として借りた弾痕のあるABC時刻表が盗難にあう。行方を追ううちに思わぬ展開に(「逃げだした時刻表」)。相続で引き継いだ家にいつのまにか居座り、死ん…

鈴木伸一『鈴木伸一 アニメと漫画と楽しい仲間』(玄光社)

鈴木伸一 アニメと漫画と楽しい仲間 作者:鈴木 伸一 玄光社 Amazon アニメーション作家の鈴木伸一氏は、トキワ荘で若手漫画家たちと交流しながらアニメーターの道に進み、90歳を迎える現在も新作づくりに取り組んでいます。本書は藤子不二雄作品に登場する「…

エドワード・D・ホック『フランケンシュタインの工場』(国書刊行会 奇想天外の本棚)

フランケンシュタインの工場 (奇想天外の本棚) 作者:エドワード・D・ホック 国書刊行会 Amazon 『フランケンシュタイン』+『そして誰もいなくなった』……ホラー、ミステリの「優良物件」を名匠がどう料理するのか!?(山口雅也) メキシコのバハ・カリフォル…

倉知淳『月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言』(創元推理文庫)

月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言 猫丸先輩シリーズ (創元推理文庫) 作者:倉知 淳 東京創元社 Amazon 猫丸という風変わりな名前の“先輩”は、妙な愛嬌のよさと人柄をもち、愉快なことには猫のごとき目聡さで首をつっこむ。そして、どうにも理屈の通らない謎…

柾木政宗『NO推理、NO探偵?』(講談社ノベルス)

NO推理、NO探偵? (講談社ノベルス) 作者:柾木政宗 講談社 Amazon 私はユウ。女子高生探偵・アイちゃんの助手兼熱烈な応援団だ。けれど、我らがアイドルは推理とかいうしちめんどくさい小話が大好きで飛び道具、掟破り上等の今の本格ミステリ界ではいま…

矢樹純『夫の骨』(祥伝社文庫)

夫の骨 (祥伝社文庫) 作者:矢樹純 祥伝社 Amazon 昨年、夫の孝之が事故死した。まるで二年前に他界した義母佳子の魂の緒に搦め捕られたように。血縁のない母を「佳子さん」と呼び、他人行儀な態度を崩さなかった夫。その遺品を整理するうち、私は小さな桐箱…

エミリー・ロッダ『彼の名はウォルター』(あすなろ書房)

彼の名はウォルター 作者:エミリー・ロッダ あすなろ書房 Amazon 遠足の途中で載っていたミニバスが故障。クラスの他の生徒たちは歩いて目的地に向かったが、アンナ・フィオーリ先生とコリン、タラ・バーン、グレース・レズリー、ルーカス・チアの4人はタク…

渡辺優『私雨邸の殺人に関する各人の視点』(双葉社)

私雨邸の殺人に関する各人の視点 作者:渡辺優 双葉社 Amazon 雨目石鋼機株式会社の名誉会長である雨目石昭吉が約10年前に別荘として購入した、昭和初期に建てられた古い洋館の私雨(わたくしあめ)邸(てい)。足が悪くて車椅子の昭吉のために改装はされているが…

伊坂幸太郎『AX アックス』(角川書店)

AX アックス (角川文庫) 作者:伊坂 幸太郎 KADOKAWA Amazon 最強の殺し屋は――恐妻家。「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。引退…

大沢在昌『黒石 新宿鮫XII』(光文社)

黒石 新宿鮫Ⅻ 作者:大沢在昌 光文社 Amazon リーダーを決めずに活動する地下ネットワーク「金石(ジンシ)」の幹部、高川が警視庁公安に保護を求めてきた。正体不明の幹部“徐福”が、謎の殺人者“黒石(ヘイシ)”を使い、「金石」の支配を進めていると怯えていた。…