平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

感想

矢樹純『夫の骨』(祥伝社文庫)

夫の骨 (祥伝社文庫) 作者:矢樹純 祥伝社 Amazon 昨年、夫の孝之が事故死した。まるで二年前に他界した義母佳子の魂の緒に搦め捕られたように。血縁のない母を「佳子さん」と呼び、他人行儀な態度を崩さなかった夫。その遺品を整理するうち、私は小さな桐箱…

エミリー・ロッダ『彼の名はウォルター』(あすなろ書房)

彼の名はウォルター 作者:エミリー・ロッダ あすなろ書房 Amazon 遠足の途中で載っていたミニバスが故障。クラスの他の生徒たちは歩いて目的地に向かったが、アンナ・フィオーリ先生とコリン、タラ・バーン、グレース・レズリー、ルーカス・チアの4人はタク…

渡辺優『私雨邸の殺人に関する各人の視点』(双葉社)

私雨邸の殺人に関する各人の視点 作者:渡辺優 双葉社 Amazon 雨目石鋼機株式会社の名誉会長である雨目石昭吉が約10年前に別荘として購入した、昭和初期に建てられた古い洋館の私雨(わたくしあめ)邸(てい)。足が悪くて車椅子の昭吉のために改装はされているが…

伊坂幸太郎『AX アックス』(角川書店)

AX アックス (角川文庫) 作者:伊坂 幸太郎 KADOKAWA Amazon 最強の殺し屋は――恐妻家。「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。引退…

大沢在昌『黒石 新宿鮫XII』(光文社)

黒石 新宿鮫Ⅻ 作者:大沢在昌 光文社 Amazon リーダーを決めずに活動する地下ネットワーク「金石(ジンシ)」の幹部、高川が警視庁公安に保護を求めてきた。正体不明の幹部“徐福”が、謎の殺人者“黒石(ヘイシ)”を使い、「金石」の支配を進めていると怯えていた。…

パトリック・クェンティン『わたしの愛した悪女』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

わたしの愛した悪女 (ハヤカワ・ミステリ 693) 作者:パトリック・クェンティン 早川書房 Amazon 板紙会社の若い社長アンドリュー・ジョーダンは、白バラのように美しい妻モリーンを熱愛していた。だが、アンドリューには人知れぬ悩みがあった――美しい女を妻…

夕木春央『時計泥棒と悪人たち』(講談社)

時計泥棒と悪人たち 作者:夕木春央 講談社 Amazon 油絵画家の井口が、出獄した元泥棒で友人蓮野に相談を持ち込んだ。以前井口の父が美術収集家の加右衛門氏に譲ったオランダ王族由来の置時計が贋物であり、加右衛門氏が私立美術館の造設を進めているという。…

トム・ミード『死と奇術師』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

死と奇術師 (ハヤカワ・ミステリ) 作者:トム ミード 早川書房 Amazon 一九三六年、ロンドン。高名な心理学者アンルセム・リーズ博士が自宅の書斎で殺された。現場は完全な密室状態。手掛かりも、犯人の目撃者も、凶器もなかった。この不可解な事件の捜査を依…

深堀骨『腿太郎伝説(人呼んで、腿伝)』(左右社)

腿太郎伝説(人呼んで、腿伝) 作者:深堀骨 左右社* Amazon 昔昔のワンス・アポン・ア・タイム、と云っても然程昔ではない程度に昔、あるコミュニティにGさんとBURさんが棲んでいた。ある日、Gさんが山へシバきに(その実はシバかれに)いってる間に川へ選択に…

ロバート・R. マキャモン『少年時代』上下(文春文庫)

少年時代〈上〉 (文春文庫) 作者:ロバート・R. マキャモン 文藝春秋 Amazon 少年時代〈下〉 (文春文庫) 作者:ロバート・R. マキャモン 文藝春秋 Amazon 十二歳のあの頃、世界は魔法に満ちていた――1964年、アメリカ南部の小さな町。そこで暮らす少年コーリー…

麻耶雄嵩『化石少女と七つの冒険』(徳間書店)

化石少女と七つの冒険 作者:麻耶雄嵩 徳間書店 Amazon 京都の北部に位置する、百年以上の歴史を誇る名門、私立ベルム学園。古生物学部の部長、赤点の女王である神舞まりあは無事に三年生に進級。平部員でお守り役の桑島彰も二年生に進級した。古生物学部も無…

紺野天龍『神薙虚無最後の事件』(講談社)

神薙虚無最後の事件 作者:紺野天龍 講談社 Amazon 大学二年生の白兎(はくと)と、彼が淡い恋心を抱く後輩の志希(しき)。二人は路上で倒れこむ唯(ゆい)と出会う。彼女が手にしていたのは、唯の父、御剣(みつるぎ)大(まさる)が著した20年前のベストセラー『神薙…

トマス・H. クック『緋色の記憶』(文春文庫)

緋色の記憶 (文春文庫) 作者:トマス・H. クック 文藝春秋 Amazon ある夏、コッド岬の小さな村のバス停に、緋色のブラウスを着たひとりの女性が降り立った――そこから悲劇は始まった。美しい新任教師が同僚を愛してしまったことからやがて起こる“チャタム校事…

トマス・H. クック『夏草の記憶』(文春文庫)

夏草の記憶 (文春文庫) 作者:クック,トマス・H. 文藝春秋 Amazon 名医として町の尊敬を集めるベンだが、今まで暗い記憶を胸に秘めてきた。それは30年前に起こったある痛ましい事件に関することだ。犠牲者となった美しい少女ケリーをもっとも身近に見てきたベ…

夕木春央『絞首商會』(講談社文庫)

絞首商會 (講談社文庫) 作者:夕木春央 講談社 Amazon 大正時代の東京。秘密結社「絞首商會」との関わりが囁かれる血液学研究の大家・村山博士が刺殺された。不可解な事件に捜査は難航。そんな時、遺族が解決を依頼したのは、以前村山邸に盗みに入った元泥棒…

麻耶雄嵩『化石少女』(徳間文庫)

化石少女 (徳間文庫) 作者:麻耶雄嵩 徳間書店 Amazon 学園の一角にそびえる白壁には、日が傾くと部活に励む生徒らの影が映った。そしてある宵、壁は映し出す、禍々しい場面を……。京都の名門高校に続発する怪事件。挑むは化石オタクにして、極めつきの劣等生…

マイケル・スレイド『暗黒大陸の悪霊』(文春文庫)

暗黒大陸の悪霊 (文春文庫) 作者:マイケル・スレイド 文藝春秋 Amazon 警官殺しが続発する中、カナダ騎馬警察巡査長クレイヴンの母親が惨殺された。唯一の物証が示す犯人はクレイヴン。彼自身の出生にまつわる暗い秘密とは? そして暗黒大陸の悪霊に操られる…

ロビン・スティーヴンス、シヴォーン・ダウド(原案)『グッゲンハイムの謎』(東京創元社)

グッゲンハイムの謎 作者:ロビン・スティーヴンス 東京創元社 Amazon 夏休みを迎えた十二歳のテッドは、母と姉といっしょに、グロリアおばさんといとこのサリムが住むニューヨークを訪れた。おばさんはグッゲンハイム美術館の主任学芸員で、休館日に特別に入…

真紀涼介『勿忘草をさがして』(東京創元社)

勿忘草をさがして 作者:真紀 涼介 東京創元社 Amazon 一年前、偶然出会ったお婆さんに会いたい。しかし手掛かりは、庭に良い匂いの沈丁花が咲いていたことと、その庭でお婆さんが発した不可解な言葉だけ――。思わぬトラブルによりサッカー部を辞め鬱屈した日…

西澤保彦『赤い糸の呻き』(創元推理文庫)

赤い糸の呻き 作者:西澤 保彦 東京創元社 Amazon 白昼に新聞紙を鷲掴みにして死んでいた男性に何が起こったのか――。音無美紀警部のめくるめく、ぬいぐるみへの妄想と、事件の対比が秀逸な、犯人当てミステリ「お弁当ぐるぐる」。停電時のエレベータ内で起こ…

クレイグ・ライス『時計は三時に止まる』(創元推理文庫)

時計は三時に止まる (創元推理文庫) 作者:クレイグ・ライス 東京創元社 Amazon ジェイクは半ば呆れていた。今日はバンド・リーダーのディックが駆け落ちをやらかす日。だが、肝心の相手が姿を見せない。やむなく先方を訪ねてみれば屋敷は警官だらけ、おまけ…

青崎有吾『11文字の檻 青崎有吾短編集成』(創元推理文庫)

11文字の檻 青崎有吾短編集成 (創元推理文庫) 作者:青崎 有吾 東京創元社 Amazon 『体育館の殺人』の衝撃のデビューから10年。“平成のエラリー・クイーン”と称された青崎有吾は、短編の書き手としても高い評価を獲得し、作品の幅を広げ続けている。JR福知…

ジプシー・ローズ・リー『Gストリング殺人事件』(国書刊行会 奇想天外の本棚)

Gストリング殺人事件 (奇想天外の本棚) 作者:ジプシー・ローズ・リー 国書刊行会 Amazon ストリッパーとしてオハイオ州コロンバスのゲイエティ劇場に出演していたジプシー・ローズ・リーは、旧知の興行主H・I・モスに誘われ、親友のジージー・グレアムとと…

フレデリック・フォーサイス『カリブの失楽園』(角川文庫)

カリブの失楽園 (角川文庫) 作者:フレデリック フォーサイス 角川書店 Amazon その年、マクレディは外交官を装い、カリブ海の英領バークレー諸島を訪れていた。まばゆい光にあふれるその島は、一見、平穏そのもののように見えた。が、島はイギリスからの独立…

小川哲『君のクイズ』(朝日新聞出版)

君のクイズ 作者:小川 哲 朝日新聞出版 Amazon 生放送のTV番組『Q-1グランプリ』決勝戦に出場したクイズプレーヤーの三島玲央は、対戦相手・本庄絆が、まだ一文字も問題が読まれぬうちに回答し正解し、優勝を果たすという不可解な事態をいぶかしむ。いったい…

マーティ・ウィンゲイト『図書室の死体』(創元推理文庫)

図書室の死体 初版本図書館の事件簿 (創元推理文庫) 作者:マーティ・ウィンゲイト 東京創元社 Amazon わたしはイングランドの美しい古都バースにある、初版本協会の新米キュレーター。この協会は、アガサ・クリスティなどの初版本の収集家だった故レディ・フ…

多島斗志之『黒百合』(創元推理文庫)

黒百合 (創元推理文庫) 作者:多島 斗志之 東京創元社 Amazon 昭和27年の夏休み。14歳だった「私」こと進と一彦は、六甲山にあるヒョウタン池のほとりで、不思議な雰囲気を纏った同い年の少女と出会う。池の精を名乗ったその香という少女は、近隣の事業家・倉…

今野敏『署長シンドローム』(講談社)

署長シンドローム 作者:今野敏 講談社 Amazon 大森署を長年にわたり支えてきた竜崎伸也が去った。新署長として颯爽とやってきたのは、またもキャリアの藍本小百合。そんな大森署にある日、羽田沖の海上で武器と麻薬の密輸取引が行われるとの報が! テロの可能…

島田荘司『ロシア幽霊軍艦事件』(講談社ノベルス)

ロシア幽霊軍艦事件 (講談社ノベルス) 作者:島田 荘司 講談社 Amazon 箱根のホテルに飾られていたという一枚の写真、そこには、芦ノ湖に浮かぶ帝政ロシアの軍艦が写されていた。山中の湖に突如出現した軍艦は、軍人たちを降ろした後、一夜にして消え失せたと…

ディック・フランシス『再起』(早川書房)

再起 (ハヤカワ・ノヴェルズ) 作者:ディック フランシス 早川書房 Amazon 障害レースの最高峰、チェルトナム・ゴールド・カップが行われる当日、元騎手の調査員シッド・ハレーは競馬場を訪れ、建設会社を経営する上院議員ジョニイ・エンストーン卿から仕事を…