平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

真門浩平『ぼくらは回収しない』(東京創元社 ミステリ・フロンティア)

ぼくらは回収しない (ミステリ・フロンティア) 作者:真門 浩平 東京創元社 Amazon 数十年に一度の日食が起きた日、名門大学の学生寮で女子学生が亡くなった。密室状態の現場から自殺と考えられたが、小説家としても活躍し、才気溢れた彼女が死を選ぶだろうか?…

ウィリアム・ケント・クルーガー『ありふれた祈り』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

ありふれた祈り (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 22-1) 作者:ウィリアム・ケント・クルーガー 早川書房 Amazon 1961年、ミネソタ州の田舎町。13歳のフランクは、牧師の父と芸術家肌の母、音楽の才能がある姉や聡明な弟とともに暮らしていた。ある夏の日、思いが…

ヤーン・エクストレム『ウナギの罠』(扶桑社ミステリー文庫)

ウナギの罠 (海外文庫) 作者:ヤーン・エクストレム 扶桑社 Amazon 「スウェーデンのディクスン・カー」と称された、ヤーン・エクストレムによる不可能犯罪の名品! ウナギ漁のための小部屋のような仕掛け罠のなかで、地元の大地主の死体が発見された。入り口…

馬伯庸『両京十五日 1: 凶兆』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

両京十五日1 凶兆 (ハヤカワ・ミステリ) 作者:馬伯庸 早川書房 Amazon 1425年、明の皇太子・朱瞻基は遷都を図る皇帝に命じられ、首都の北京から南京へと遣わされる。だが、長江を下り南京へと到着したその時、朱瞻基の船は爆破され、彼の命が狙われているこ…

紫金陳『検察官の遺言』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

検察官の遺言 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:紫金陳 早川書房 Amazon 地下鉄の駅で爆弾騒ぎを起こした男のスーツケースから元検察官・江陽(ジアン・ヤン)の遺体が発見された。男は著名な弁護士・張超(ジャン・チャオ)で、自分の教え子だった江陽の殺害を自…

真門浩平『バイバイ、サンタクロース~麻坂家の双子探偵~』(光文社)

バイバイ、サンタクロース~麻坂家の双子探偵~ 作者:真門 浩平 光文社 Amazon 特別に優秀な児童が通う帝都小学校で、群を抜く知能を持つ双子の兄弟、圭司と有人。刑事を父親に持つふたりはミステリが大好きで、身の回りに起こったさまざまな謎に挑戦する。…

深水黎一郎『エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ』(講談社ノベルス)

エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ (講談社ノベルス) 作者:深水 黎一郎 講談社 Amazon モディリアーニやスーチンら、悲劇的な生涯を送ったエコール・ド・パリの画家たちに魅了された、有名画廊の社長が密室で殺されるが、貴重な絵画は手…

ポール・ケイン『七つの裏切り』(扶桑社海外文庫)

七つの裏切り (扶桑社BOOKSミステリー) 作者:ポール・ケイン 扶桑社 Amazon レイモンド・チャンドラーが「ウルトラ・ハードボイルド」と評した幻の作家の代表作7編を収録した傑作集。町なかで別人と間違われて呼び止められた男。そのまま倒れこんでし…

フレデリック・フォーサイス『ネゴシエイター』上下(角川文庫)

ネゴシエイター 上 (角川文庫 赤 フ 6-11) 作者:フレデリック・フォーサイス KADOKAWA Amazon ネゴシエイター 下 (角川文庫 赤 フ 6-12) 作者:フレデリック フォーサイス KADOKAWA Amazon 石油資源は確実にあと数年で枯渇する────モスクワとヒューストンで、…

吉田修一『怒り』上下(中公文庫)

怒り (上) (中公文庫) 作者:吉田修一 中央公論新社 Amazon 怒り (下) (中公文庫) 作者:吉田修一 中央公論新社 Amazon 若い夫婦が自宅で惨殺され、現場には「怒」という血文字が残されていた。犯人は山神一也、二十七歳と判明するが、その行方は杳として…

貴志祐介『兎は薄氷に駆ける』(毎日新聞出版)

兎は薄氷に駆ける 作者:貴志 祐介 毎日新聞出版 Amazon ある嵐の晩、資産家男性が自宅で命を落とす。死因は愛車のエンジンの不完全燃焼による一酸化炭素中毒。容疑者として浮かんだ被害者の甥、日高英之の自白で事件は解決に向かうと思われたが、それは15年…

芦辺拓・江戸川乱歩『乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび』(KADOKAWA)

乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび【電子版特典付き】 (角川書店単行本) 作者:芦辺 拓,江戸川 乱歩 KADOKAWA Amazon あの中絶作を書き継ぎ完結させる! そして物語はさらなる仕掛けへ… 江戸川乱歩が昭和8年に鳴り物入りで連載開始した「悪霊」は、傑作となるは…

神保喜利彦『東京漫才全史』(筑摩書房 筑摩選書)

東京漫才全史 (筑摩選書) 作者:神保喜利彦 筑摩書房 Amazon 現在も人気のある日本の伝統的芸能「漫才」には「お笑い論」の書籍は数多く存在するが、「漫才」の、特に東京を地盤とした漫才の歴史に関する書籍は数少ない。この「東京漫才」に焦点を当て、漫才…

阿津川辰海『黄土館の殺人』(講談社タイガ)

黄土館の殺人 〈館四重奏〉 (講談社タイガ) 作者:阿津川辰海 講談社 Amazon 殺人を企む一人の男が、土砂崩れを前に途方にくれた。復讐相手の住む荒土館が地震で孤立して、犯行が不可能となったからだ。そのとき土砂の向こうから女の声がした。声は、交換殺人…

わかつきめぐみ『古道具よろず屋日乗』(花とゆめコミックススペシャル)

古道具よろず屋日乗 (花とゆめコミックススペシャル) 作者:わかつきめぐみ 白泉社 Amazon 何かが憑いてるわけアリの品を預かり、憑き物が落ちたら持ち主に返す。そんな不思議な古道具屋さんがありました。今日も新米主人の冬耶は、先代からの女中のトメにど…

京極夏彦『鵼の碑』(講談社ノベルス)

鵼の碑 (講談社ノベルス) 作者:京極 夏彦 講談社 Amazon 殺人の記憶を持つ娘に惑わされる作家。消えた三つの他殺体を追う刑事。妖光に翻弄される学僧。失踪者を追い求める探偵。そして見え隠れする公安の影。発掘された古文書の鑑定に駆り出された古書肆は、…

ジェフリー・ディーヴァー『石の猿』上下(文春文庫)

石の猿 上 (文春文庫) 作者:ジェフリー・ディーヴァー 文藝春秋 Amazon 石の猿 下 (文春文庫) 作者:ジェフリー・ディーヴァー 文藝春秋 Amazon 中国の密航船が沈没、10人の密航者がニューヨークへ上陸した。同船に乗り込んでいた国際手配中の犯罪組織の大物“…

芦辺拓『三百年の謎匣』(角川文庫)

三百年の謎匣 (角川文庫) 作者:芦辺 拓 KADOKAWA Amazon 億万長者の老人が森江法律事務所へ遺言書作成の相談に訪れた帰途、密室状態の袋小路で殺害された。遺されたのは世界に一冊の奇書と莫大な遺産。森江春策がその本をひもとくと、多彩な物語が記されてい…

メアリ・H・クラーク『誰かが見ている』(新潮文庫)

誰かが見ている (1979年) (新潮文庫) 作者:メアリ・H.クラーク Amazon 二年半前に最大の妻ニーナを殺されたスティーヴは、今また一人息子と恋人を誘拐された。犯人はフォクシーと名のる正体不明の男で、二人はニューヨーク・グランド・セントラル駅地下の一…

加納朋子『1(ONE)』(東京創元社 創元クライム・クラブ)

1(ONE) 駒子シリーズ (創元クライム・クラブ) 作者:加納 朋子 東京創元社 Amazon 大学生の玲奈は、全てを忘れて打ち込めるようなことも、抜きんでて得意なことも、友達さえも持っていないことを寂しく思っていた。そんな折、仔犬を飼い始めたことで憂…

五十嵐律人『法廷遊戯』(講談社文庫)

法廷遊戯 (講談社文庫) 作者:五十嵐律人 講談社 Amazon 法律家を目指す学生・久我(くが)清義(きよよし)と織本(おりもと)美鈴(みれい)。ある日を境に、二人の「過去」を知る何者かによる嫌がらせが相次ぐ。これは復讐(``)なのか。秀才の同級生・結城馨の助…

望月拓海『毎年、記憶を失う彼女の救いかた』(講談社タイガ)

毎年、記憶を失う彼女の救いかた (講談社タイガ) 作者:望月拓海 講談社 Amazon わたしは1年しか生きられない。毎年、わたしの記憶は両親の事故死直後に戻ってしまう。空白の3年を抱えたわたしの前に現われた見知らぬ小説家は、ある賭けを持ちかける。「1ヵ月…

陸秋槎『元年春之祭』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

元年春之祭 (ハヤカワ・ミステリ) 作者:陸 秋槎 早川書房 Amazon 前漢時代の中国。かつて国の祭祀を担った名家、観(かん)一族は、春の祭儀を準備していた。その折、当主の妹が何者かに殺されてしまう。しかも現場に通じる道には人の目があったというのに、そ…

エリック・キース『ムーンズエンド荘の殺人』(創元推理文庫)

ムーンズエンド荘の殺人 (創元推理文庫) 作者:エリック・キース 東京創元社 Amazon 15年前に探偵学校で学んだ卒業生たちのもとへ、校長ダミアンの別荘で開かれるという同窓会の案内状が届いた。吊橋でのみ外界とつながる会場にたどり着いた彼らが発見したの…

井上真偽『アリアドネの声』(幻冬舎)

アリアドネの声 (幻冬舎単行本) 作者:井上真偽 幻冬舎 Amazon 救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇…

クリスチアナ・ブランド『濃霧は危険』(国書刊行会 奇想天外の本棚)

濃霧は危険 (奇想天外の本棚) 作者:クリスチアナ・ブランド 国書刊行会 Amazon 過保護に育てられたレデヴン館の相続人ビル・レデヴン少年は、同年代の少女のいる知人宅で休暇を過ごすよう親に命じられ、気乗りしないまま、シルバーのロールスロイスに乗せら…

ホリー・ジャクソン『受験生は謎解きに向かない』(創元推理文庫)

受験生は謎解きに向かない 自由研究には向かない殺人 (創元推理文庫) 作者:ホリー・ジャクソン 東京創元社 Amazon 高校生のピップにある招待状が届いた。高校卒業および大学受験に必要な試験のひとつが終わった6月末、友人宅で架空の殺人事件の犯人当てゲー…

今野敏『一夜 隠蔽捜査10』(新潮社)

一夜―隠蔽捜査10― 作者:今野敏 新潮社 Amazon 神奈川県警刑事部長・竜崎伸也のもとに、著名作家・北上輝記が小田原で誘拐されたという一報が入る。小田原警察署に捜査本部が置かれたが、犯人からの連絡が何もない。誘拐の目的も安否も不明の中、北上の妻から…

イーデン・フィルポッツ『孔雀屋敷』(創元推理文庫)

孔雀屋敷 フィルポッツ傑作短編集 (創元推理文庫) 作者:イーデン・フィルポッツ 東京創元社 Amazon 一夜のうちに起きた三人の変死事件を調査するため、英国から西インド諸島へ旅立った私立探偵。調べるほどに不可解さが増す事件の真相が鮮やかに明かされる「…

伊坂幸太郎『チルドレン』(講談社)

チルドレン 作者:伊坂 幸太郎 講談社 Amazon こういう奇跡もあるんじゃないか? まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。信じること、優しいこと、怒ること。それが報いられた瞬間の輝き。ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。(…