平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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マイケル・スレイド『暗黒大陸の悪霊』(文春文庫)

 警官殺しが続発する中、カナダ騎馬警察巡査長クレイヴンの母親が惨殺された。唯一の物証が示す犯人はクレイヴン。彼自身の出生にまつわる暗い秘密とは? そして暗黒大陸の悪霊に操られる殺人者《邪眼鬼(イーヴル・アイ)》は誰か? 犯人探しは最後の一行まで転げ込む! ミステリ魂増量、鬼才スレイドが再び放つ狂気の大作。(粗筋紹介より引用)
 1996年、アメリカで発表。2003年11月、邦訳刊行。

 『髑髏島の惨劇』の評判を聞いていたので買うだけ買ったが、あまりもの厚さにためらっていた一冊。6時間ぐらいの移動があったので、その間にと思って手に取ってみた。しかし、シリーズものだとは全く知らなかった。
 法月綸太郎の解説から借りると、ロバート・ディクラーク警視率いる特捜部隊スペシャルXと、「この世ならぬもの」に取り憑かれ、恐怖と戦慄に満ちた殺戮を繰り返すサイコキラーたちとの果てしない死闘を描いたカナダ警察年代記シリーズの第五作ということ。スペシャルXとは、カナダ連邦騎馬警察(RCMP)特別対外課(スペシャル・エクスターナル・セレクション)の通称で、カナダ国外とリンクする犯罪はこのセクションが担当。北米大陸有数の国際犯罪都市ヴァンクーヴァーに本部を構え、最新のハイテク技術とRCMPの旧公安本部で諜報活動の訓練を受けた選り抜きのスタッフをそろえているとのこと。シリーズの『クール』『ヘッドハンター』『カットスロート』は創元ノヴェルズ(あったね、そんなレーベル)より刊行。『髑髏島の惨劇』から文春文庫で刊行。
 スレイドは初めて読んだが、よくもまあ、ここまでごった煮のようにいろんな要素をつぎ込んだと、別の意味で関心。サイコ、呪術、人種差別、歴史、警察小説、法廷ものに加え、本格ミステリの要素まで入っているのだから、何だこれはと言いたくなる。シリーズもののため、前作までの要素も入っているので、所々訳が分からないまま進んでしまった。場面の切り替えが早いし、登場人物は多いし、着いていくのはやっとなんだが、意外と読み易いのはなぜなんだろう。
 しかも最後は犯人探し。最後の最後までもつれるフーダニットは、本格ミステリとして破綻があるかどうかを読者に考えさせない力業で決着がつく。ある意味見事というか。
 とはいえ、何冊も読みたい作者ではなかったかな。一冊で満腹。まあ、買ってどこかに締まっているから次(というか前作か)も読むけれど。