DAIGOの姉、内閣総理大臣の故竹下登の孫として知られる人気漫画家・影木栄貴が50歳にして結婚、おひとり様をやめるまでの道のりを赤裸々に書いた初エッセイ。仕事は順調、だけど恋愛免疫力ゼロ。忙しい毎日を過ごす中、年齢とともに体調不良も実感する。仕事も頑張りたい、趣味も楽しい、お金も大事、健康も心配、自由に生きたい…だけどひとりぼっちが苦手! 結婚は本当に必要なのか? 全力で日々頑張り楽しんでいる女性が一度ならず何度も考える疑問に、著者が選んだマイペースな結婚ライフとは? 「婚活宣言」「お互いのお財布事情は探らない」「いきなり同居はしない」ーシングル時代が長かった著者ならではの視点にも注目したい一冊。描きおろしエッセイ漫画も収録!(作品紹介より引用)
2024年5月、刊行。
影木栄貴というマンガ家を知ったのは、1998年の『週刊文春』に彼女の記事が載っていたからである(ただし、「運命にKISS」か何かを『ウィングス』で読んだ記憶があった)。『週刊文春』なんて、年末恒例の傑作ミステリー・ベスト10以外の目的で購入したことはない(はず)。何で買ったんだろう。
記事の内容はしっかり覚えている。竹下登の孫がマンガ家であること。しかも描いているのは、25歳の衆議院議員が総理大臣になり16歳の高校生を婚約者にしてしまうという『世紀末プライムミニスター』。人気があって有望みたいなことをマンガ評論家や(『ぱふ』あたりの)編集者あたりが語り、そのことについて竹下登周辺の人に聞いたエピソードを幾つか書いていた。そして竹下登の自宅へ記者がアポ無し訪問したところ、当初は断っていたのに用件が孫のことだと知ったとたん妻(影木の祖母)が家の中に入れてインタビューを受ける。そこへ丹前姿の竹下登も登場して孫のことをニコニコと語っていた。記者はアポ無し訪問を受けたことにも驚いていた(まあ、普通だったら追い返されるよな)。確か竹下登の誕生会で、影木が祖母に「1万円札をきれいな1000円札にくずしてくれ」と言われて用意したら、それを封筒に入れて誕生日プレゼントとして竹下登に渡し、竹下はそれをずっと家に飾っていたという話が書かれていた。竹下は、マンガ好きの麻生太郎にも『世紀末プライムミニスター』を見せたが、さすがの麻生も「よくわからない」と返した、みたいなことを語っていたはず(どうでもいいが、私はこの記事で初めてマンガ好きの政治家麻生太郎を知った。まさか総理大臣になるとは思わなかった)。嫌いな政治家だった竹下登も孫を愛する普通のおじいさんなんだと知り、意外だったことを覚えている。
それからは影木の作品をほとんど買っていたし(いや、同人誌は買っていない)、カバーを外すとTN元首相の孫みたいなことを書いていたから、みんな知っているものだと思っていたので、『トリビアの泉 〜素晴らしきムダ知識〜』に出演したときは逆にびっくりしたものである。
コミックスに出ていたから、DAIGOのことも知っていた。DAIGO☆STARDUSTの名前でデビューしたことも知っていたし、自作『トレイン☆トレイン』がドラマCDになったとき、脇役のキャラの声を担当させたことも知っていた。まさか、タレントとしてブレイクするとは思わなかった。
とまあ、影木栄貴『エイキエイキのぶっちゃけ隊!!』(新書館)の感想で書いたことをほとんど丸写しした。
そんな影木栄貴が50歳で結婚したという記事を読んだ時には驚いたものだが、さらにエッセイ本を出したのにはもっとびっくりした。結構撃たれ弱い人なのに、という印象があったもので。そういえばDAIGOが独身の頃、夜中に美人な女性と焼肉デートか、と思って調べたら、実はすっぴんの影木だったなんて写真週刊誌の記事もあったな。
オタクだし、自意識高いところはあるし、やはり竹下登の孫という特殊な家庭で育っていることもあるし、家事は全然だめだし。自由に生きたいけれど、一人ぼっちは苦手。なんかこうやって並べてみると、面倒くさい人だな。だけど、自分のやりたいことに全力投球、自分で道を切り拓く。北川景子の帯にある通りの人であることが、エッセイからも伝わってくる。
そんな影木が、50歳になって結婚するまでの道のりを赤裸々に書いた一冊。恋愛経験、私生活、婚活をここまでぶっちゃけるか、というぐらいぶっちゃけている。「リミットがあるのは仕事ではなく出産」というのは、男が読んでも刺さるわ。婚活していても、財産狙いじゃないかなどと勘ぐってしまうところなどは、本当にリアル。言われてみれば確かにそうだ、狙い目だよね。
最後にお金の話が出てくるところもリアル。若い人にはわからないだろうが、年を取ればとるほど、仕事を辞めた時のことを考えてしまうよね。しかも物価はどんどん高くなって、1円の価値はどんどん下がっていくのだから。
男性にはわからない、一人の女性の生き方を知ることができて、とても楽しかったです。こういう生の声を聞いておくと、女性に対する接し方が少しは変わるかな。男性も読んだ方がいいです。
それと最後に言いたいのは、やはり北川景子は男前。それに、ちゃんと姉のBL作品、読んでいるのね。