平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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伊坂幸太郎『ホワイトラビット』(新潮社)

 その夜、街は静かだった。高台の家で、人質立てこもり事件が起こるまでは。SIT(特殊捜査班)に所属、宮城県警を代表する優秀な警察官も現場に急行し、交渉を始めるが――。逃亡不可能な状況下、息子への、妻への、娘への、オリオン座への(?)愛が交錯し、緊張感はさらに増大! しかし読み心地は抜群に爽快! あの泥棒も登場します。(帯より引用)
 2017年9月、書下ろし刊行。

 仙台で起きた人質立てこもり事件、通称……でもなんでもない「白兎事件」。まさに神の視点で物語は進んでいく。登場人物の誰もが何かを隠している。みんな悪人なのに、なぜか嫌いになれない。あっ、一人いい気味だと思った人がいたけれど。いったい何が本当で、何が嘘なのだか。眉に唾を付けて読み進めても、最後は作者に翻弄される。
 まあ、ある意味ずるいと言えるような作品。こんなに滅茶苦茶やって、面白い作品にしてしまうのだから。伊坂マジック炸裂! というところだろう。