平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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伊坂幸太郎『夜の国のクーパー』(創元推理文庫)

「ちょっと待ってほしいのだが」 私はトムという名の猫に話しかけた。猫に喋りかけていること自体、眩暈を覚える思いだったが致し方ない。前には猫がおり、自分は身動きが取れず、しかもその猫が私に理解できる言葉を発しているのは事実なのだ。目を覚ましたら見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。戦争が終わったんだ」――伊坂幸太郎、十冊目の書き下ろし長編は、世界の秘密についてのおはなし。野心的傑作、文庫化。(粗筋紹介より引用)
 2012年5月、東京創元社より書下ろし刊行。2015年3月、創元推理文庫化。

 

 人間と猫が話をしているというところで、来たぞ伊坂、と思っていたのだが、猫のトムが住んでいる国の話になってきて理解が追い付かなくなってきた。とりあえず「クーパー」とは杉の木で、町の北西にある谷のそばの杉林の何本かが変態し、そのうちの一本だけが成長して動き出して暴れまわるという。うーん、この説明を聞いただけで、読むのを止めようかと思った(苦笑)。クーパーを倒すと透明化するとか、猫と鼠が会話を始めたりとか、うーん、付いていけない。
 それでも最後まで頑張って読んではみた。確かに色々な伏線が回収されて一つに収まるところはさすがだとは思うけれど、それでも楽しめなかったな。これはもう、好みの問題。とりあえず、苦手な話でした、ということで。