アマチャ・ズルチャ 柴刈天神前風土記 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
- 作者: 深堀骨
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/08/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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1992年に「蚯蚓、赤ん坊、あるいは砂糖水の沼」が都筑道夫、小池真理子両氏の絶賛を浴び、第3回ハヤカワ・ミステリ・コンテストに佳作入選。その後、「ミステリマガジン」「SFマガジン」に掲載された短編に、書き下ろしを加えて2003年に刊行された処女作品集。
新刊で買って、今頃読む。いつものことである。
東京にいた頃、この作者とはそれなりにお会いしていた。作者ご本人が不思議な人だから、書くものも不思議ではあったが、ミステリマガジンのコンテスト受賞作は全く覚えていなかった。多分最初に読んだとき、そのあまりもの奇天烈さに頭がおかしくなったので、慌てて記憶をデリートしたに違いない。
こうしてまとめて読むと、本当にわけがわからない感性なのである。それでも、読んでいくうちに不思議な魅力に引きずり込まれていく恐ろしさがある。なんかまあ、くさやを蟻地獄の巣の近くで焼かれているようなものだ。この感覚破戒を引き起こす世界観が凄まじい。いったいどこをどうやったら、こんな事を考えつくのだろう。出鱈目の局地にありながら、不思議と調和がとれているのはなぜなんだ。
理性を失いたくないのなら、読まない方がいいですよ、といってしまいたくなる作品集。