平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

サラ・パレツキー『サマータイム・ブルース』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

わたしの名はV・I・ウォーショースキー。シカゴに事務所を構えるプロの私立探偵だ。有力銀行の専務から、息子の姿を消したガールフレンドを探してほしいとの依頼を受ける。しかし、その息子はアパートで射殺されており、しかも依頼人自身も偽名を使っていたらしい。さらに、わたしは暗黒街のボスから暴力をうけ、脅迫された。背後に浮かぶ、大規模津かつ巧妙な保険金詐欺……空手の達人にして美貌の女探偵の初登場作!(粗筋紹介より引用)

1982年発表。1985年翻訳。



女性私立探偵「V・I・ウォーショースキー」シリーズ第1作。手元にはあったがなんとなく敬遠していた。

主人公こそ女性だが、私立探偵ものの基礎がしっかりとした作品。逆に言えば、主人公が女性でなかったらありきたりな作品だったかもしれない。しかし、私立探偵を女性にすることで、これだけ幅が広がるのだから不思議だ。女性ならではの視点、女性ならではのやり取り、女性ならではの活躍。これが面白い。ただ、男と寝るシーンはいらなかったな。別に私立探偵が恋をする必要はないのだが、一晩明かしたいという魅力が相手になかった。

保険金詐欺を絡めた真相探しもなかなかのもの。これは作者の経歴が一役買っているのだろう。

第一作でこれだけ書ければ、人気になるのもわかる。とはいえ、二作目を読むかどうかとなると、これは好みの問題。私は一作読めば十分だった。