本格ミステリの現在(上)-日本推理作家協会賞受賞作全集(91) (双葉文庫)
- 作者: 笠井潔
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2014/06/12
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本格ミステリの現在(下)-日本推理作家協会賞受賞作全集(92) (双葉文庫)
- 作者: 笠井潔
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2014/06/12
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ますます多様化していった1990年代の日本のミステリ界において、本格ミステリはどのような姿を見せていたのか。気鋭の評論家による鮮やかな作家論が、それを解き明かしていく。下巻では、宮部みゆき、我孫子武丸、北村薫、山口雅也、麻耶雄嵩、井上夢人、二階堂黎人、京極夏彦と、個性的な作品で新たな地平を開いた8人が論じられる。(下巻粗筋より引用)
東京創元社で設けていた創元推理評論賞(1994年〜2003年)の選考委員及び受賞者、入選者で結成された探偵小説研究会のメンバーによる作家論。タイトルこそ『本格ミステリの現在』となっているが、結局は「新本格」以後を中心とした本格ミステリ作家を論じた一冊でしかなく、本格ミステリ全体を俯瞰したものではない。井上夢人や宮部みゆきを本格ミステリ側から語ってみても、どことなくこじつけにしか見えないのは気のせいか。メタなんか論じられても……という感も強いのだが、やはり論じる人々それぞれが本格ミステリというものはなんなのかという根本的な命題をスルーしているところに問題があると思っている。本格ミステリの命題に共通認識がないから、なんとなくもやもやとしたアンバランスな評論集になっているのだ。これが別に作家論とタイトルを付けてくれているのなら、何とも思わないのだけれども。
そういう意味で本格ミステリを全体的な流れで追っているのは「前書き」の笠井潔だけといっていいかもしれないが、私はこの笠井潔の論法が好きになれない。そもそも、思い込みが強い。全く個人的な印象であり、どこが間違っている、というわけでもないので、それ以上言うことは無い。
ということで、予想以上にがっかり感が強い評論集。ブームに合わせて受賞させただけという気もしなくはない。