平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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B・M・ギル『十二人目の陪審員』(ハヤカワ・ミステリアス・プレス文庫)

十二人目の陪審員 (ミステリアス・プレス文庫)

十二人目の陪審員 (ミステリアス・プレス文庫)

人気TVキャスターのエドワード・カーンが妻殺しの容疑で告発された。彼は強く犯行を否定したものの、数々の不利な情況証拠を前に、なぜかいっさいの証言を拒否していた。その心中にあるものとは? そして、彼を裁く立場に立った陪審員たちの揺れ動く心が下した評決とは……英国推理作家協会賞ゴールド・ダガーを受賞した緊迫感溢れる法延ミステリの傑作。(粗筋紹介より引用)

1984年発表。1985年、英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞。1985年12月、邦訳単行本刊行。1991年4月、文庫化。



英国の女流作家、B・M・ギルの法廷もの。法廷ものは嫌いではないので、結構期待して読んだのだが、ちょっと当てが外れた。

主役は被告のエドワード・カーン……ではなく、陪審員の一人、ロバート・クイン。元ザ・タイムズの記者で、今は失職中。4人の旅回り芸人に部屋を貸しているが、彼らが酔いつぶれた女性を介抱しようと連れてきたところ、それがカーンの娘、フランシス。フランシスは頑なに証言を拒否し、法廷に出ようとしない。

察しのいい人なら、ある程度予測できるだろう。なぜフランシスが証言を拒否しているのか。エドワードがなぜ証言を拒否しているのか。まあ、さすがに結末は予想できなかったが。

法廷を舞台にしているし、陪審員が議論を繰り広げるから法廷ミステリといっても不思議ではないけれど、結局は脇に置かれてしまっているのが不満。そもそも、こんな熱弁で、こんな結末を迎えるのか。うーん、陪審制度はやはり怖い。

法廷ミステリならではの緊迫感もないし、検事や弁護士が脇に置かれているのも不満。うーん、今一つだった。