平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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阿津川辰海『デッドマンズ・チェア』(KADOKAWA)

 「伝える」の能力で捜査に貢献してきた小鳥遊沙雪が、横浜で人質としてつかまった。犯人は、駆け落ちしてきたという中国人の少年(リー)天祐(ティエユウ)と少女(ヤン)美鈴(メイリン)。マフィアのボスである少女の父が送り込んだ能力者狩りの殺人集団に追われ、沙雪は二人と逃走することに。翌日、警視庁公安部公安第五課、通称「コトダマ犯罪調査課」(SWORD(ソード))チームの永嶺スバルは、彼女の異常事態を察知した。鳥類連続狙撃事件と首が折られた死体の捜査と同時進行という、圧倒的不利な状況。永嶺は、新米捜査官が半数のチームを率いて形勢逆転を狙う――。本作から読んでも楽しめる、話題沸騰の「コトダマ犯罪調査課」シリーズ第二弾!(帯より引用、一部追記)
 『小説 野性時代』2025年3月号~9月号連載。加筆修正のうえ、2026年3月刊行。

 『バーニング・ダンサー』に続く「コトダマ犯罪調査課」シリーズ第二弾。
 コトダマの設定はある程度覚えていたが、登場人物の細かいところは忘れていたので、できれば主要登場人物を別途用意してほしかったな。それに、チームのボスである三笠葵がもたらす不協和音は、前作を読まないと理解しきれないと思う。
 複数の事件が同時進行し、チームの面々は分かれての捜査に当たる。ただでさえ半数が素人で、さらに戦力がダウンしているのに、しかも一人は攫われた状態。場面が細かく切り替わることも併せたスピーディーな展開で、サスペンスの盛り上がりはさすがと言える。
 ただ事件の謎解きやその後の展開を含め、力業で強引にねじり伏せようとしている感が強い。その分、並行しているストーリーが密接に絡まず、バラバラなままで終わってしまっている。読み終わってみると、作者よこれでいいのか、と聞きたくなるぐらい仕上がりが荒い。作者、仕事しすぎじゃないか。
 それにしてもこのシリーズ、どこへ着地点を持っていくのだろう。不穏な空気のまま、次作まで待つのはちょっと辛い。なんだかんだ言っても続きが気になるので、次作を楽しみに待っている。