- 作者: 笹本稜平
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/10/25
- メディア: 単行本
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『小説宝石』2009年10月号〜2010年9月号連載。2010年10月刊行。
『素行捜査官』の続編。警察官や組織の悪を身内から追求する物語であるためか、もしくは本郷たちが途中で無力さを感じるためかはわからないが、書き方がどうしても暗くなっており、帯にあるような痛快さはない。『越境捜査』シリーズのように脳天気なキャラクターを出してほしいと思うし、もっとストレートに「組織内の悪を正す!」という展開で押し進めてほしいと思うのだが、それはある程度リアリティを重んじようとする作者の本意ではないのだろう。
雑誌連載という制約のせいかもしれないが、結末の付け方はかなりの駆け足で、かつご都合主義。結末が駆け足になるのは、作者の作品ではしばしば見られることであり、さらに急いで結末を付けようとするからご都合主義になるのも時々見られる。作者にはここらで腰を据え、書き下ろしを出してほしいところではあるのだが、人気シリーズを抱えていては、それも難しいだろう。
読ませる力はあるのだから、連載を続けるのであれば、配分を最初から検討してほしい。この人の場合、あれもこれもと序盤で詰め込むから失敗している。