- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2003/02/01
- メディア: 新書
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2003年2月、書き下ろし。
1996年、第13回サントリーミステリー大賞佳作受賞作品『悪党たちが目にしみる』が原型と聞いていたので、今更ながら読んでみた作品。あとがきを読むと、登場人物は同じだが、作品の内容は違うということだったので、あえて読む必要はなかったなとちょっと後悔。ちなみにそちらの方は銀行強盗襲撃後、誘拐事件に巻き込まれるという話とのこと。
クライムコメディとあるが、コメディの中に社会的要素や批判をシレッと入れてくるあたりは作者らしいところか。ただ四人のキャラクターが濃すぎて、それぞれが好き勝手に主張するものだから、どうもテンポに乗りきれない。慎一につきまとう影の正体が知れるあたりまで変調な流れが続くので、読みながら苛立ってばかりいた。言ってしまえば、行動より語りが多い。登場人物は思ったほど多くないため、筋書きがある程度予想できる分、その苛立ちは余計に募るばかり。結末の付け方も予定調和であったため、あまり楽しめなかった。まあ、細かい伏線を一気に回収する腕には感心したが。