経産省とフォン・コーポレーションが進める日中合同プロジェクト『クイアコン』に絡む一大疑獄。特捜部は捜査一課、二課と合同で捜査に着手するが何者かによって関係者が次々と殺害されていく。謎の暗殺者に翻弄される警視庁。だが事態はさらに別の様相を呈し始める。追いつめられた沖津特捜部長の下した決断とは――生々しいまでに今という時代を反映する究極の警察小説シリーズ、激闘と悲哀の第5弾。(粗筋紹介より引用)
『ミステリマガジン』2016年1月号~2017年5月号連載。加筆修正のうえ、2017年9月、単行本刊行。
「機龍警察」シリーズ長編第5弾。日中合同プロジェクトの新世代量子情報通信ネットワーク開発プロジェクト、通称
操作する方もされる方も、登場人物が多いし、組織や会社の名前がポンポン飛び交う。把握するのは結構難儀だが、そんな苦労すら楽しみに変わってしまうぐらい人間関係と事件の絡み合った糸がほぐれていく展開が素晴らしい。これだけの登場人物を、よくぞこれだけ自在に配置し、交差させることができるものだと感心してしまう。
さらに凄いのは、特捜部の主要登場人物の内面を深く掘り下げるとともに、未来を示しているところ。特に主要登場人物二人の心の揺れ具合は、読み進めていくうちに涙が出てきてしまう。
そして「龍機兵」の戦いこそ出てこないものの、「龍機兵」の隠れた秘密が明らかになる。「敵」の存在が徐々に見えてくる。シリーズを読み続けている読者にとっては、様々な情報が大量に押し寄せてくる。そして読み終わったときに気づく。この作品はシリーズ最高作品だと。それと同時に警察小説の傑作でもあり、大河ドラマの最高潮でもある。それにしてもここまで来ても、シリーズの終着点が全く見えないというのもすごい。
シリーズを読んでいないと分からないことだらけだろうが、とにかく傑作です。ぜひシリーズを1作目から読み、この作品に辿り着いてほしい。いつの間にか、このシリーズの虜になるだろう。そして読者は作者に早く続編を書いてほしいと願い、祈るだろう。
