平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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望月拓海『毎年、記憶を失う彼女の救いかた』(講談社タイガ)

 わたしは1年しか生きられない。毎年、わたしの記憶は両親の事故死直後に戻ってしまう。空白の3年を抱えたわたしの前に現われた見知らぬ小説家は、ある賭けを持ちかける。「1ヵ月デートして、ぼくの正体がわかったら君の勝ち。わからなかったらぼくの勝ち」。事故以来、他人に心を閉ざしていたけれど、デートを重ねるうち彼の優しさに惹かれていき――。この恋の秘密に、あなたは必ず涙する。(粗筋紹介より引用)
 2017年、第54回メフィスト賞受賞。応募時タイトル『リピート・ラブ』。同年12月、講談社タイガより刊行。2018年、第7回静岡書店大賞映像化したい文庫部門受賞。

 作者は放送作家として音楽番組を中心に携わってきたとのこと。日本脚本家連盟会員である。
 交通事故の影響による解離性健忘で、毎年1年で記憶が事故直後に戻ってしまう女性が主人公。そんな彼女の前に現れた見知らぬ小説家と賭けをして、そして恋に落ちる。
 この小説家が持ち掛けた賭けの謎こそあるものの、記憶を失う女性の恋愛物語そのものである。脚本家が書いたっぽいな、と思われるような描き方、会話であり、それ以上でもそれ以下でもない。映像化狙いかなという気がした。
 個人的には面白さを感じなかったが、これは好みの問題だろう。こういうものが好きな人もいるだろうなとは思う。