平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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ザ・グレート・カブキ『“東洋の神秘" ザ・グレート・カブキ自伝』(辰巳出版 G SPIRITS BOOK)

 2014年10月でデビュー50周年を迎える名レスラー"東洋の神秘"ザ・グレート・カブキが自身のキャリアを総括する本格的自叙伝。日本プロレスでの若手時代に始まり一大ブームを巻き起こした全日本プロレス時代、メガネスーパーが設立した新団体SWSへの参加、平成維新軍のメンバーとして活躍した新日本プロレス時代まで波乱万丈の人生を歩んできた「プロレス界のご意見番」が今、すべてを語り尽くす。プロレス専門誌『Gスピリッツ』の単行本シリーズ第3弾!(粗筋紹介より引用)
 2014年10月、刊行。

 ペイントレスラーの元祖として一大ムーブメントを巻き起こしたザ・グレート・カブキの自叙伝。日本プロレスの若手時代から海外遠征、日本プロレス崩壊、全日本プロレスでくすぶっていた中堅兼コーチ時代、再びアメリカ遠征、ザ・グレート・カブキ誕生と一大ブーム、全日本復帰、SWS、WAR、平成維新軍、インディー団体、IWA JAPANでの引退、そしてリング復帰まで。職人だったから色々なところで活躍できたのだろうとは思う。ただ、カブキに変身するまでは中堅ポジションとしか見ることができなかった。カブキに変身してから生で試合を見た時は驚いたなあ。
 この人は日本プロレス芳の里派だったからか、それとも全日本で冷遇されたからかはわからないが、ジャイアント馬場には厳しい意見が多い。まあジャイアント馬場も、カブキを便利屋程度にしか扱っていなかったからな。カブキはジャンボ鶴田最強説も思いっきり否定していている。鶴田みたいな甘ちゃんエリートが我慢ならなかったのだろう。
 プロとしての気構え、基本的な技の重要性などは、今のプロレスラーに知ってもらいたい内容。怪我をしても保険制度がなくて自分で治すしかないというのは、今でも大きな団体に属していないと同じ話。プロモーターやトップレスラーとの駆け引きなどは、苦労を重ねてきたカブキならでは。やはり客を呼べなきゃ、プロレスラーじゃない。それに、飲食店を続けられる秘訣も単純だが、わかりやすい。
 自叙伝といっても、今から約10年前の本。プロレスラーを引退した今だからこそ、もう少し裏話を読んでみたいものだ。