日本人レスラー最強と今でも言われているのがジャンボ鶴田。秋山隼、アニマル浜口、池田実(山梨県立日川高校バスケットボール部同級生)、磯貝頼秀(ミュンヘン五輪フリースタイル100kg以上級代表)、梅垣進(日本テレビ 全日本プロレス中継ディレクター)、鎌田誠(中央大学レスリング部主将・同級生)、川田利明、菊池毅、ケンドー・ナガサキ(故人)、小橋建太、ザ・グレート・カブキ、佐藤昭雄、ジャイアント馬場、新間寿(新日本プロレス取締役営業本部長)、スタン・ハンセン、タイガー戸口、タイガー服部、田上明、長州力、鶴田恒良(実兄)、テリー・ファンク、天龍源一郎、ドリー・ファンク・ジュニア、原章(日本テレビ 全日本プロレス中継ディレクター)、渕正信、森岡理右(筑波大学教授=故人)、谷津嘉章、和田京平の証言や、鶴田自身や鶴田の妻の著書、当時の雑誌などからジャンボ鶴田の実像に迫る。
馬場のパートナー時代や“善戦マン”と揶揄された頃なども見ていた。鶴田とキム・ドクの試合は良かったなあ……なんて思っていたけれど、やはり新日本派。長州力が鶴田の手のひらに転がされたときも、鶴田の余裕が気に入らなかったが、強いとは思わなかった。動かないからスタミナあるわな、なんて思っていたし。その強さに気づかされたのは、やっぱり天龍と戦ってから。でかい者同士が限界まで戦おうとすると、迫力が段違いなんだな、と思い知らされた。三沢たちと戦うときは、強すぎて憎たらしかったな。特に菊池毅とやっているときは完全にいじめにしか思えなかった。
色々なインタビューから本当の鶴田の姿が少し見えたが、やはりまだまだ鶴田は本当の姿を出してこなかったのだろう。鶴田が本気になっていれば、猪木がいくら異種格闘技で最強を謳っていても、説得力がなかっただろう。もっともっと力強い戦いができたと思う。大木金太郎あたりを完璧につぶしていれば、まだ評価が違ったに違いない。何事も、すべてに完璧な人というのはいないものだ、と思ってしまう。こんなに恵まれた体と才能がありながら、トップを取ろうという意欲がなかったというのは返す返すも残念だ。
鶴田の実像に迫った本作、ボリュームがありすぎるくらいあり、読みごたえがある。ただ、もう少し批判的なインタビューも読んでみたかった気がする。