平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

ジャスト日本『インディペンデント・ブルース』(彩図社)

インディペンデント・ブルース

インディペンデント・ブルース

 

 メジャーが光り輝く太陽だとしたら、闇夜に輝く月のような存在がインディー。本書は、インディペンデントなプロレス団体で生きるレスラーを取材し、彼らがなぜ戦い続けるのかを解き明かそうとするものである。インディーの最前線で異彩を放つ若き天才、メジャーに通用する潜在能力を持ちながら団体愛を貫く逸材、格闘技と強さに対し異常なまでの執着心を抱く「変態」、世界最高峰のプロレス団体をはじめ世界中のマットに上がったレスリング・マスター、ズルいヒールを目指してインディー街道をひた走る〝その日暮らし〟の男、いまはなき伝説の団体の魂を背負いリングに上がり続けるベテラン、海外にもその名を轟かせるデスマッチの雄、熱い全力ファイトでインディーの壁を乗り越えた弾丸戦士……。彼らが闘い続ける理由とは? プロレスの見方が変わるノンフィクション!(帯より引用)
 2020年3月、刊行。

 

 主にインディペンデントを中心として活躍するプロレスラー8人へのインタビューをまとめたもの。登場するレスラーは、阿部史典プロレスリングBASARA)、吉田綾斗(2AW)、佐藤光留(フリー)、ディック東郷みちのくプロレス)、新井健一郎DRAGON GATE)、マンモス佐々木(FREEDOMS)、竹田誠志(フリー)、田中将斗(プロレスリンZERO1)。本をまとめた作者は、プロレスブロガーで本書が初めての著書となる。
 登場するレスラーは、日本のメジャー団体や海外団体でも活躍したベテランレスラーから、インディーONLYなレスラーまで幅広い。ただいずれもプロレス専門誌には取り上げられるレスラー。そんな彼らが、一部にはメジャーからの誘いを断り、インディペンデントとは何か、生き続ける理由を作者は探し続ける。実際は知らないけれど、彼らはいずれも一度はインディーのままメジャーの団体(新日本 or 全日本 or NOAH or DRAGON GATE)に上がったレスラーばかりである。その気になれば、メジャー団体の一員となることもできただろう。実際、誘われたレスラーも多い。そんな彼らがインディーとして生きる理由は、読んでいて胸を打たれるものがある。
 ただこれって、ただのインタビューだよな、とは思ってしまう。タイトル通りの内容にすべきなら、もっとインディーの光と影に踏み込むべきだったんじゃないかと思う。インディーのまま20年以上を迎えたレスラーだっている(ウルトラマンロビンリッキー・フジ、吉田和則、松崎和彦黒田哲広、バファローなど多数)。光をあまり浴びないレスラーや、アルバイトの合間にプロレスをやっているレスラーなんかも今後は取り上げてほしいものだ。それこそが、インディペンデントの意味を知るうえで重要だと思