平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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板野博行『眠れないほどおもしろい日本書紀:「書かれた文字」の裏に秘された真実』(三笠書房 王様文庫)

 アマテラス、スサノオ日本武尊神武天皇中大兄皇子天武天皇…知れば知るほど凄いぶっ飛びのエピソードを、あの藤原不比等のナビで実況中継! 伝説と事件の舞台裏でその時、何が起きたのか――? 古代日本史オールスターズが登場する最古の歴史書日本書紀』の魅力に迫る本!
 ◎神代からのお約束「告白するのは男から!!」
 ◎オオクニヌシはなぜ「国譲り」を迫られたか
 ◎「三種の神器」を携えて、天孫ニニギ、降臨!
 ◎英雄ヤマトタケルは、なぜかくも悲しいのか?
 ◎実力十分! なぜ中大兄皇子はすぐに即位しなかった?
(粗筋紹介他より引用)
 2022年8月、書下ろし刊行。

 

 「眠れないほどおもしろい」シリーズ最新刊。天武天皇の命令で編纂され、神代から第41代持統天皇までを取り上げ、39年の歳月をかけて完成された、日本最古の史書日本書紀』。それをかみ砕きつつ、最新の研究も併せて面白く書かれた解説本。
 わかりやすく書かれているし、特に天皇や藤原一族に忖度して書かれた部分についての反論部分も最新研究に基づいて書かれているから、日本の神話からヤマト時代の歴史について詳しくなれると同時に、現在に残る日本の風習、伝説などにも触れることができる。
 史書と言いながら、辻褄を合わせようと色々無理をしている部分(一部天皇が100歳以上生きているなど)や、天皇の先祖「天孫族」(ヤマト政権)が出雲、熊襲などを滅ぼしていった件などについても突っ込みを入れながらの説明がある。聖徳太子が実在したか(そもそも『日本書紀』にしか名前が出てこない)や乙巳の変の真の首謀者など、日本の歴史で次々と疑念が定義されている点についても触れられている。もちろんすべてが載っているわけではないし、あっさりと触れられているだけではあるので、これ以上のことを知りたいという人に勉強してもらおうという書き方もうまい。
 他のシリーズも読んでみようという気にさせられる。やっぱり日本の古典というのは楽しい。