平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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小林泰三『アリス殺し』(創元クライム・クラブ)

 大学院生・栗栖川亜理は、最近不思議の国に迷い込んだアリスの夢ばかり見ている。ハンプティ・ダンプティの墜落死に遭遇する夢を見た後大学に行ってみると、キャンパスの屋上から玉子という綽名の博士研究員が墜落死を遂げていた。次に亜理が見た夢の中で、今度はグリフォンが生牡蠣を喉に詰まらせて窒息死すると、現実でも牡蠣を食べた教授が急死する。夢の世界の死と現実の死は繋がっているらしい。不思議の国では、三月兎と頭のおかしい帽子屋が犯人捜しに乗り出していたが、思わぬ展開からアリスは最重要容疑者にされてしまう。もしアリスが死刑になったら、現実世界ではどうなってしまう? 彼女と同じ夢を見ているとわかった同学年の井森とともに、亜理は事件を調べ始めるが……。邪悪で愉快な奇想が彩る、鬼才会心本格ミステリ。(粗筋紹介より引用)
 2013年9月、書下ろし刊行。

 

 まあ何となく手に取ってみた一冊。とはいえ、失敗したかな。これは『不思議の国のアリス』を読んでいないと、登場人物がさっぱりわからない。ハンプティ・ダンプティとか名前は知っているけれど、その程度だものなあ。
 現実世界と不思議の世界がリンクするという設定はそれなりに面白かったけれど、やはり不思議の世界を把握していないと面白さはかなり減少。ほとんど会話体で話が進むが、この会話の部分も、アリスを読んでいるかどうかで面白さが違うのだろうなあ。はっきり言ってくどすぎてイライラします。
 最後については、さすが小林泰三とは思った。最後の展開は楽しめるもんじゃないとはいえ、仕掛けの面白さは本領発揮といえそう。
 ということで、手に取らなければよかった、というのが本音。