「死んだ人のことなんか知らない。あたしは、誰かの代わりに生まれてきたんじゃない」ある殺人事件で絡み合う、容疑者そして若き刑事の苦悩。どうしたら、本当の家族になれるのだろうか。
閑静な住宅街で小さな喫茶店を営む女性が殺された。捜査線上に浮上した常連客だったひとりの男性。災害で二人の子供を失った彼は、深い悩みを抱えていた。容疑者たちの複雑な運命に、若き刑事が挑む。(内容紹介より引用)
2019年7月、書き下ろし刊行。
加賀恭一郎が出てくるけれど、動くのは従弟の松宮脩平がほとんどなので、番外編になるのかな。
殺人事件自体は特に捻りがないまま終わってしまうが、その動機、というか背景の方が本筋。それと松宮の過去の話も同時進行で進んでいく。うーん、はっきり言っちゃうと、東野らしいあざとさがここにある。東野がテーマに選ぶ家族とは何か、みたいな部分が前面に出てきてあまり好きになれない。いや、本当に東野が読者を感動させよう、という作り方そのもの。もうね、作りすぎなんだよな。もう少し自然に書けないのだろうかと思ってしまう。
これ以上はありません。