二〇一八年、M-1審査員に抜擢された芸人が漫才を徹底解剖。M-1チャンピオンになれなかった塙だからこそ分かる歴代王者のストロングポイント、M-1必勝法とは? 「ツッコミ全盛時代」「関東芸人の強み」「フリートーク」などのトピックから「ヤホー漫才」誕生秘話まで、"絶対漫才感"の持ち主が存分に吠える。
どうしてウケるのかだけを四〇年以上考え続けてきた、「笑い脳」に侵された男がたどり着いた現代漫才論とは? 漫才師の聖典とも呼ばれるDVD『紳竜の研究』に続く令和時代の漫才バイブル、ここに誕生!(折り返しより引用)
2019年8月、刊行。
今、関東の漫才師と言ったら第一に浮かぶのがナイツだろう(西はいっぱいいすぎて挙げられない)。ほかの芸人の名前(例えばサンドウィッチマンとか)を挙げる人もいるだろうが、寄席で漫才をメインにしている芸人、となるとやはり最初にナイツの名前を挙げてしまう。そんなナイツの塙が漫才を語っているのだから、読まないわけにはいかない。出てから割と早くに読んでいたのだが、感想を書くのは今頃。言い訳すらないけれど、書けなかったな、凄すぎて。
どうすれば関東芸人がM-1で勝てるのか。というよりタイトルにある通り、なぜ関東芸人は勝てないのか。その分析力が素晴らしい。現役の漫才師がここまで書いちゃっていいの、と不安になるぐらい詳細な内容なのだが、それこそ老若男女を相手に漫才で笑わせてきた彼らだからこそ、なのだから書けるのだろう。
南キャンは子守唄、オードリーはジャズ、というのは至言だな。
今後、M-1を目指す漫才師は皆読むだろう。いや、もしかしたら去年のうちに既に読まれていたに違いない。今まで出場した漫才師はどのような観点で評価されてきたのか。どこを修正していくか。どこを伸ばしていくか。そんなヒントが散りばめられている。表題にある通り、「令和の漫才バイブル」になるだろう。名著。
それにしても、最後にある「探せば、きっとまだどこかにとんでもない武器が眠っているはずです。宝が埋まっているはずです」とあるが、ミルクボーイはすごかった。あの形式の漫才なら、なんでも当てはめることができる。もちろんそこまで到達するのにはものすごい練習がいただろうし、観察力が必要だろうが。