平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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ジェフリー・ディーヴァー『ソウル・コレクター』上下(文春文庫)

リンカーン・ライムのいとこアーサーが殺人容疑で逮捕された。アーサーは一貫して無実を主張するも、犯行現場や自宅から多数の証拠がみつかり有罪は確定的にみえた。だがライムは不審に思う――証拠が揃い過ぎている。アーサーは濡れ衣を着せられたのでは? そう睨んだライムは、サックスらとともに独自の捜査を開始する。(上巻粗筋紹介より引用)

殺人容疑で逮捕されたいとこを無実とみたライムは、冤罪と思しき同様の事件の発生を突き止める。共通の手掛りが示したのは、膨大な情報を操る犯人像。真相を究明すべく、ライムのチームは世界最大のデータマイニング会社に乗り込むが――。データ社会がもたらす闇と戦慄を描く傑作! 巻末に著者と児玉清氏の対談を特別収録。(下巻粗筋紹介より引用)

2008年、発表。2009年10月、邦訳単行本が文藝春秋より刊行。2012年10月、文庫化。



リンカーン・ライムシリーズ8作目。今回はいとこの無罪を証明すべく動くうちに、似たような冤罪事件の発生を突き止め、世界最大のデータマイニング会社と対峙することになる。

相変わらずテンポよく読ませてはくれるものの、本作は今まであったようなどんでん返しが連続するジェットコースター的な展開は無く、情報社会の薀蓄部分が多いため、今一つ乗り切れなかった。説明が多すぎたのだろう。その気になってしまえば世界を乗っ取ることも可能な犯罪なのに、ここまで小さな世界でとどまってしまっているのも残念。本来だったら政府まで出てこなければならない内容なのにね。

悪くはないけれど今一つ乗り切れなかったし、作者もライムシリーズに疲れているのかな、と思わせた作品だった。