- 作者: アダムファウアー,Adam Fawer,矢口誠
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/08/04
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数学者ケインとCIA工作員ナヴァ。窮地に陥った二人の共闘に、戦闘のプロが動員され、捕捉作戦は激化した。非力な民間人にすぎないケインの唯一の「武器」が引き起こす、ありえない連鎖反応。炸裂する伏線また伏線、予想を裏切る拷問と人体実験。長く壮絶な戦いの行方は? 世界が興奮した徹夜必至の傑作。(下巻粗筋紹介より引用)
2005年7月、アメリカで刊行。2006年7月、第1回世界スリラー作家クラブ最優秀新人賞受賞。2006年8月、文藝春秋より上下巻単行本で刊行。2009年8月、文庫化。
新人作家アダム・ファウアーのデビュー作。ある能力を持ってしまった天才数学者ケイン、一卵性双生児の兄で総合失調症のジャスパー、CIA工作員でその正体は、となるナヴァを軸に、科学者トヴァスキー、国家安全保障局科学技術研究所所長のフォーサイス、宝くじを当てたケインの友人のトミー・ダソーザ、ケインたちを追うマーティン・クロウなど、様々な人物の思惑が絡みながら、追いつ追われつの奮闘を繰り返しながら結末まで流れるノンストップ・サスペンス。
この手のジェットコースター的なサスペンス、多くなってきているんだよななどと思いながらも作者の思惑に流されながら読んでいた。数学などの理論が特に上巻でいろいろ出てくるが、講義風景の描写にするなどの工夫によってわかりやすく説明しているところは巧いと思った。ただ、追う方と追われる方の展開はどことなくテンプレートっぽく、予想外の展開がないことがちょっと残念。その分安心して流し読み(いや、一応ちゃんと読んでいる)できた、とも言えるのだが。ケインが持つ能力については、もっと逃げるにはいい方法があったんじゃない、とも思ってしまうが、それを言い出すとジョーカー的な能力だから何でもできるようになるし、仕方がないか。
面白いのだが、なんとなく安っぽさが気にかかった。数学的な理論のからめ型は悪くないのだが、それでもB級の匂いが消えないというか。面白ければ何でもいいんだけれどね。