平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

スコット・トゥロー『有罪答弁』上下(文春文庫)

有罪答弁〈上〉 (文春文庫)

有罪答弁〈上〉 (文春文庫)

有罪答弁〈下〉 (文春文庫)

有罪答弁〈下〉 (文春文庫)

妻に逃げられ一人息子は非行に、警官あがりの中年弁護士マックは560万ドルの金と共に行方をくらました変りものの僚友バートの捜索を命じられる。自分を敵と狙う警官時代の元相棒ピッグアイの執拗な妨害をかわし、弁護士らしからぬ手口でバートの家に侵入し、冷蔵庫を開けたマックをにらみ返したのは、脚を曲げた死人だった。(上巻粗筋より引用)

さまざまな思惑が蠢く巨大弁護士事務所のなかで、どうやら自分だけが知らないことがある―トゥロー得意の物語展開はいよいよ冴えわたる。行方不明の同僚を探すさえない中年弁護士マックの前に予想もつかなかった意外な事実が次々に展開される。そしてついにすべてのパイを握ったマックに、壮大な人生の決断が待っていた。(下巻粗筋より引用)

1995年6月、邦訳単行本刊行。1997年6月、文春文庫化。



推定無罪』は面白かったよな……と思いながら手に取った一冊、いや二冊か。タイトルから法廷ものかと思ったら、元警官の落ちこぼれ弁護士が調査を続けるうちに意外な事実を発見しているストーリー。こんな癖の強い人物ばかりよくぞ集めたものだと言いたいぐらいだが、それを難なく描き分けているのは、さすがベストセラー作家。スピーディーな展開は読者を飽きさせないし、読者の予想を上回る真相は素直に驚かせてくれる。それにしても、こんな法律事務所、いやだなあ。

世界を股に掛けたベストセラーは、読んでみて損はない、と思わせる作品。何となく避けていたけれど、他も読んでみようっと。

ちなみにタイトルにある有罪答弁制度とは、被告人が、公判廷において起訴事実に対し有罪答弁をした場合に、通常の事実審理を経ずに直ちに量刑手続に入ることができる制度だそううだ。