平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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加藤元浩『Q.E.D. iff−証明終了−』第1巻(講談社 マガジンコミックス)

ニューヨークの個展が間近に迫っていた人気彫刻家・三砂大命がアトリエ内で絞殺された。アトリエは内側からは開くが、外からは受付にあるボタンを押さないと開かない。受付にはマネージャーの押鳥麻理子がいて、席を立った時は必ず鍵を掛けていた。容疑者は遺体発見者で一番弟子の土鳩蒼吉、二番弟子の真鴨藍、ヌードモデルの百舌優花、マネージャーの押鳥の4人。密室状態で犯行が可能だったのは誰か。「iff」。
京都の山奥にあったお堂で、100年前に人気があった新興宗教の教祖のミイラが発見された。1920年代の科学雑誌に挟まっていた記者のノートに興味を持った想と可奈は京都に行き、遺体発見者の自称発明家や、同じく事件に興味を持った教祖のひ孫である女子大学院生とともに、当時村まで作っていた新興宗教内で起きた大量射殺事件の謎に迫る。「量子力学の年に」。
雑誌『マガジンR』が創刊されたことに伴い、再始動。iffの由来は、同値を表す英語「if and only if」より取られている。燈馬や可奈も3年生に進級。燈馬は本が多すぎてマンションを追い出され、洋館に引っ越している。
「iff」は誰が犯人かというフーダニットもの。機会と動機で理論的に犯人を追い詰めており、再スタートとしてはなかなかの作品。燈馬の態度が連載当初のように若干冷たくなっているところが少々気がかり。
量子力学の年に」は新興宗教と科学などの絡み合いが面白いが、推理というよりは矛盾のない物語を作り出しているだけという気がしなくもない。