- 作者: 氷川透
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2000/06
- メディア: 単行本
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1997年、第8回鮎川哲也賞最終候補作。応募時タイトル「眠れない夜のために」。島田荘司の高い評価を得、改稿改題のうえ、2000年6月に単行本で刊行。
まあ氷川透なので、論理を前面に押し出した作品になっているだろうとは思ったけれど、ここまでロジックしかないとは思わなかった。小説というよりは、長い長いパズルだね、これは。論理的に突き詰めていくと、回答はこれ一つしかないのかもしれないし、他の回答がある可能性もあるかもしれないが、そこまで考える気力も根性もまったくなし。パズルが出て、どう解かれるかを見るだけ(読むですらない)。まあ、刺された営業部次長が常務を名指しするところの推理はかなり苦しいとは思うが。ここまで来るとロジックではなくて物語を作るだけ。小説としての面白さは何一つなかった。
この年の受賞作は谺健二『未明の悪夢』。他の最終候補作は城平京『名探偵に薔薇を』、柄刀一『3000年の密室』とまあ、いずれも出版されていることから考えると豊作だったと言えるのかもしれない。ただ、どれを選ぶと言ったら、間違いなく谺健二ですね。