平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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加藤元浩『C.M.B. 森羅博物館の事件目録』第26巻(講談社 マガジンコミックス)

料理研究家の荒井は、金を強請ってきた義弟の芝浦を誘い出し、ゴンドラに乗っている途中で突き落とし、停電中に助けを求めて飛び降りたかのように偽装した。しかし夫の死に疑問を抱いた荒井の妹・早苗は自殺するはずがないと森羅に相談する。「ゴンドラ」。
ケニアのマサイサラ国立保護区で、動物学者のクックによるライオンの生態調査を手伝っていた村一番の戦士・オディンガがライオンに襲われて死んだ。一緒にいた戦士見習のハガは、かつて父親をライオンに殺された記憶まで呼び起こして心を閉ざしてしまった。森羅やクックたちは、悲しみを消す術を持つという呪医のガンビットがいるサバンナの奥へライオンの群れを避けながら進む。「ライオンランド」。
森羅博物館へ訪れてきたのは、香港経済界の大物・趙建文。趙は森羅が半年前に北京で買った唐辛子のお守りを売って欲しいと要求する。趙は森羅の要請に従い、文化大革命にまつわる自らの過去を語る。「兆し」。
「ゴンドラ」は正統派倒叙もの。教科書通りの仕上がりとしか言いようがない。「兆し」は謎解きというより、過去の懺悔と解放。今回は「ライオンランド」が久々の前後編ということで力が入っている。ただ犯人はバレバレなので、推理ものとしては楽しくない。作者が言いたいこともわからないではないが、前半と最後のセリフが今一つ合わないのも残念。力が入りすぎたか。