C.M.B.森羅博物館の事件目録(20) (講談社コミックス月刊マガジン)
- 作者: 加藤元浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/06/15
- メディア: コミック
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祖父とともに知り合いの温泉旅館に来た立樹と森羅。そこでは、携帯コンテンツ会社の新年会も開かれていた。社長は、赤字隠しに反対する経理主任を、階段からの転落事故に見せかけて殺害する。完全犯罪は成功したかに見えたが。「転落」。
理由もわからず、気になって持ち帰った木片。そこへ木野藍理という女子高生が博物館に現われる。彼女が持ってきた木片は、幽霊を呼び寄せるといわれ、今は寺に奉納されている。奉納された理由がわかれば、藍理の祖父が長い間悩んできた謎が解け、宝物をくれるという。森羅は藍理とともにその寺へ行き、一晩泊まるのだが。「木片」。
オランダ国立博物学研究所に預けられた、デューラーの『サイの版画』が資料室の書類棚から盗まれた。それほど金になるものとも思えないのに、いったい誰が。所長であるモーリス博士は、自らが犯人であると訴え、拘置所に入り、森羅を呼び出す。モーリス博士は、森羅の3人の父親の一人だった。「犀の図」。
いずれも謎の小粒感は否めない。「12月27日」はその最たるもの。「転落」は珍しい倒叙ものだが、普通に捜査をすれば警察が犯人を捕まえることができただろう。「木片」は少々珍しいが、謎解きという概念からは外れる。「犀の図」だが、警察が捜査した時点で絵が見つかっていただろう。
この巻は、「犀の図」で3人目の父親であるモーリス博士が登場する、というのが売りでしかなく、他は今一つ。まあ、「犀の図」で最後の謎を森羅ではなく、立樹が解くというのは、二人の関係を示しているようで面白かったが。