平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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加藤元浩『C.M.B. 森羅博物館の事件目録』第20巻(講談社 マガジンコミックス)

C.M.B.森羅博物館の事件目録(20) (講談社コミックス月刊マガジン)

C.M.B.森羅博物館の事件目録(20) (講談社コミックス月刊マガジン)

12月27日に博物館で開いた仮装兼クリスマスパーティーで、ワンダーフォーゲル部の八合目暁彦が用意していたクリスマスプレゼントが消えていた。それはフズリナの化石というありふれたものだったが、暁彦にとっては宝物だった。「12月27日」。
祖父とともに知り合いの温泉旅館に来た立樹と森羅。そこでは、携帯コンテンツ会社の新年会も開かれていた。社長は、赤字隠しに反対する経理主任を、階段からの転落事故に見せかけて殺害する。完全犯罪は成功したかに見えたが。「転落」。
理由もわからず、気になって持ち帰った木片。そこへ木野藍理という女子高生が博物館に現われる。彼女が持ってきた木片は、幽霊を呼び寄せるといわれ、今は寺に奉納されている。奉納された理由がわかれば、藍理の祖父が長い間悩んできた謎が解け、宝物をくれるという。森羅は藍理とともにその寺へ行き、一晩泊まるのだが。「木片」。
オランダ国立博物学研究所に預けられた、デューラーの『サイの版画』が資料室の書類棚から盗まれた。それほど金になるものとも思えないのに、いったい誰が。所長であるモーリス博士は、自らが犯人であると訴え、拘置所に入り、森羅を呼び出す。モーリス博士は、森羅の3人の父親の一人だった。「犀の図」。
いずれも謎の小粒感は否めない。「12月27日」はその最たるもの。「転落」は珍しい倒叙ものだが、普通に捜査をすれば警察が犯人を捕まえることができただろう。「木片」は少々珍しいが、謎解きという概念からは外れる。「犀の図」だが、警察が捜査した時点で絵が見つかっていただろう。
この巻は、「犀の図」で3人目の父親であるモーリス博士が登場する、というのが売りでしかなく、他は今一つ。まあ、「犀の図」で最後の謎を森羅ではなく、立樹が解くというのは、二人の関係を示しているようで面白かったが。