平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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加藤元浩『Q.E.D.―証明終了―』第48巻(講談社 マガジンコミックス)

人前に全く顔を出さないことで有名なベストセラー作家・世見一夏の代理人・株戸繁樹が殺害された。代わりの代理人になったエージェント会社の見習・天道星子は、完成したという小説をもらうために世見を尋ねるが、株戸殺害の犯人を捕まえたら原稿を渡すと言われてしまい、親戚の可奈に相談する。「代理人」。
モロッコ王国の少女・ファイハはいとこのハムダンと一緒にスペイン・カナリヤ諸島への密航船「ブランカ号」に乗ろうとするが、金がないため黙って乗り込むことに。ところが、船上での殺人事件を目撃してしまい、海に飛び込んで逃亡。そのとき欧州国境警備の監視船に見つかり、船長の発砲が発端となり銃撃戦で死傷者17名を出す大惨事に。船長は密航のベテランであり、発砲する理由はない。また、密輸していたと思われる麻薬も見つからなかった。「ファイハの画集」。
代理人」の方は、どうやって殺人事件の犯人を推理するのだろうと思っていたら、最後に意外な展開が待ち受けていた。これはちょっとしてやられたが、死体をどうしていたのだろうという疑問は残る。
「ファイハの画集」は移民問題を取り扱った社会派的作品。消えた麻薬の謎自体については首をひねるところがある(あんな状態で本来の用途として使うことはできるのか?)のだが、そちらよりもむしろ注目すべきは、ファイハという少女の強さだろう。