少年少女昭和ミステリ美術館―表紙でみるジュニア・ミステリの世界
- 作者: 森英俊,野村宏平
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2011/10/01
- メディア: 大型本
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第1展示室 乱歩・ホームズ・ルパン 児童ミステリ界のビッグ3
第2展示室 世界の名作・日本の名作 少年少女ミステリ全集
第3展示室 ジュニア・ミステリの名匠たち
第4展示室 付録・ガイド本の世界
森英俊編『ミステリ美術館―ジャケット・アートでみるミステリの歴史』が2001年11月。このときは460点の表紙が載り、168頁で4200円(税込み)。本作は400点の表紙、160頁で3990円(税込み)。
国産ミステリについては色々な研究が重ねられてきたが、ジュニア・ミステリについてはほとんど振り返られることも無く、出版点数の多さにも関わらずほとんど振り返られてこなかったというのが現状である。そういう意味で、このような関連書が出版されたことは快挙と言ってもよい。小学生・中学生の頃、図書館で読み耽ったジュニア・ミステリの数々が、今ここに甦った。
ただ、前巻よりも表紙点数が少ないのは残念。それに少年少女ミステリ全集は、できれば一冊当たりの書影を小さくしてでも全ての表紙を見せてほしかった。この本はあくまで“美術館”であり、“歴史本”でも“評論集”ではないのだから、リスト全て云々を言うのは無い物ねだりかも知れない。しかしこの二人の編者なら当然リストに載っているを持っているはずだ。ここまでそろっているのを見ると、やはり完璧なものを求めてしまうのは、端くれとはいえマニアの性かも知れない。ついでに書くと、付録本もリストにしてほしかった。
不満なのは、ガイド本の書影が少ないこと。クイズなんてごく僅かしかない。トリックのネタばらしなど、確かに罪があることは認めるけれど、少年少女をミステリの世界に引き込んだという点では、功の部分も大きいと思うのだけれどなあ。私個人としては、手に入りやすい『名探偵世界一周』よりも、かつてはブームとなった豆本あたりの書影を見せてほしかった。
エッセイは、当時の読者(有栖川有栖、恩田陸)なんかどうでもいいので、やはり当時の関係者の証言をもっと取り上げてほしかった。
どうでもいいけれど、コラムで古書店でも入手が難しいみたいなコレクター的文章は余計だったと思う。
できればこれは第二弾がほしいなあ。もっとも、これ自体が売れるかどうかが微妙なのだが。