- 作者: 藤子・F・不二雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/10/25
- メディア: コミック
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藤子Fのもう一つの顔ともいうべくSF作品。青年誌に描いているというのに、他の漫画家と異なり絵柄がほとんど変わらないという点は賛否両論があったかと思うが、いずれも違和感なく読める作品に仕上がっている点はさすが。もっとも、それぞれの短編に盛り込まれたアイディアの方が面白すぎたか。「定年退食」「間引き」のような社会派作品は、絵柄と内容のギャップが逆にオチの不気味さを醸し出していたと思う。よく考えてみると、「間引き」は地球総人口が45億を超すという話だったのに、今じゃ70億。どうなるんだろう、いったい。余談だけど。
トリビアにもなった「劇画オバQ」も収録。当時のファンが初めて読んだときは衝撃的だっただろうね。どんな人でも、いつかは大人になるんだという話だったが、何回読んでも切なくなってしまう。今回は予告カットも収録されているけれども、ギャップの激しさに驚いてしまう。どうせだったら、予告カット、本編という順番に並べてほしかった。その方が、より衝撃的だったと思う。この手の漫画の主人公が大人になったら、という話は読むべきなんかじゃないと思ってしまったが、できれば『パーマン』の成長した姿は読んでみたかったな。1号と3号の結婚式に、ブービーとパーやんとパー坊が参加する話は描いてほしかったよ、本当に。
今読んでも、アイディアの宝庫だと思うんだけどね。ここに出てきているアイディアを組み合わせて、自分なりの登場人物を配すれば、長編小説が書けるんじゃないかと思ってしまう。
解説はSF評論家の鏡明。はっきり言って期待外れ。もっとSFに特化した解説を読みたかった。どうせなら、全作品においてSF作品との相似性を語ってほしかった。