平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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加藤元浩『Q.E.D.―証明終了―』第38巻(講談社 マガジンコミックス)

Q.E.D.証明終了(38) (講談社コミックス月刊マガジン)

Q.E.D.証明終了(38) (講談社コミックス月刊マガジン)

当たらないB級作品ばかりを発表している映画プロデューサーがパーティー時、かつて作った映画の内容通りに殺害された。当時パーティーにいたのは元富豪の友人、脚本家、主演俳優、融資回収に来ていた銀行員、そして燈馬と可奈。「虚夢」。
人気ドラマのロケに使われたことで脚光を浴びた神社の片隅にあった、正十七角形のお堂。飾られていたのは、江戸時代に13歳の女の子、秋沙(あいさ)が解いた算額であった。床には座標軸と思われる線が描かれている。お堂に込められたメッセージとは。「十七」。
おなじみの推理漫画第38巻。「虚夢」では一応アリバイトリックが使われているが、メインとなるのはむしろ、駄目だと思いつつも夢を追いかける姿の果てである。その微妙な心理が作品に深みを与えている。
「十七」は和算がテーマ。推理そのものよりも、世界でも類を見ない独特の学問であった和算を物語へ巧みに織り込む姿はさすが。かなり力の入った作品である。
ただ、近年の作品は淡々と事件を解決するものが多く、燈馬と可奈にもう少しスポットを当てた作品を読んでみたいところ。