平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

加藤元浩『Q.E.D.―証明終了―』第40巻(講談社 マガジンコミックス)

Q.E.D.証明終了(40) (講談社コミックス月刊マガジン)

Q.E.D.証明終了(40) (講談社コミックス月刊マガジン)

あるカップル2組の仲を取り持つようにお願いされた燈馬と可奈だが、いずれもが別の相手を好きなっているというループ状態。ダブルデート後ももつれた状態の4人であったが、そのうち2人がアルバイトをしている本屋の売上金が盗まれる事件が起きた。しかも偶然、4人が現場に居合わせていた。「四角関係」。
大手旅行店の子会社である旅行企画会社が企画したミステリーツアーの模擬体験へ、燈馬、可奈、江成が参加することとなった。孤島にある別荘で、落ち目のミステリー作家が考えた3つの密室トリックを推理する企画であったが、会社の赤字の原因を調査に来た親会社の経理部部長が密室の中で殺害された。描き下ろし、「密室 No.4」。
連載されていた隔月刊誌『マガジン・イーノ』が休刊(最後の掲載作品は「四角関係」)となり、あらたに季刊誌『マガジンプラス』へ移行することになった本作。最初の話は112Pとなっていたが、今後は掲載+描き下ろしという形で年3冊ペースが続くのか、掲載2本で年2冊ペースとなるのか、気になるところではある。
「四角関係」は“誰に機会があったのか”パターンだと思ったが、“どうやって盗んだか”のパターンだった。シンプルなトリックだが、四角関係の人間模様も含め、それなりの出来に仕上がっている点は手慣れたものである。
「密室 No.4」はなかなか力の入った作品。ツアーで仕掛けられる三つの密室でも、三番目の密室は視覚的にもかなり映えたものであったし、実際の殺人事件でもシンプルとはいえなかなか面白いトリックを使っている。それ以上に、誰に殺人の機会と動機があったのかを燈馬が論理的に追い詰める終盤の展開は、近年でも一番の仕上がりではないだろうか。描き下ろしといっても今までの執筆ペースとそれほど変わらないと思うが、よくできた一編であり、本格ミステリファンに読んでもらいたい作品である。それにしても、実際の殺人事件を目の前にして、全く動揺しない可奈と江成はなんなんだろう(苦笑)。