- 作者: ミッチェルスミス,Mitchell Smith,東江一紀
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1992/01
- メディア: 文庫
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1987年、アメリカで発表。ミッチェル・スミスのデビュー作。1992年1月翻訳。
分厚い文庫本に、当時の小さすぎる文字が襲いかかってくる。とにかく描写が細かい。細かすぎ。事件だけではなく、主人公エリーの日常、心情が一分一秒まで細かく描かれている。事件を追うだけなら、ここまで細かく描く必要はない。いったい何が作者をここまで駆り立てるのだろう、と思うぐらいだ。しかもその描写が細かいだけならまだしも、死体のグロテスクな部分、暴力描写、心の醜さまでもが細かく描かれるものだから、読む方は悪い意味で圧倒される。精神的攻撃を受けているかのようだ。
内容としては、殺人事件の犯人を落ちこぼれ女性刑事が執念深く追い続けて逮捕する作品。言ってしまえばそれだけ。被害者の女性が娘に送る手紙の内容のところはちょっと変わっていてやや面白かったが、他の部分について内容だけをピックアップしてみると、それほど面白い作品とは思えない。ただ、その執拗とも思える描写が、この作品を際だたせている。
筆力自体はすごいと思うけれど、他に関しては感心しなかった。まあ、それだけかな。