平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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高田郁『今朝の春 みをつくし料理帖』(ハルキ文庫)

今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)

今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)

月に三度の『三方よしの日』、つる家では澪と助っ人の又次が作る料理が評判を呼び、繁盛していた。そんなある日、伊勢屋の美緒に大奥奉公の話が持ち上がり、澪は包丁使いの指南役を任されて――(第一話『花嫁御寮』)。戯作者清右衛門が吉原のあさひ太夫を題材に戯作を書くことになった。少しずつ明らかになってゆくあさひ太夫こと野江の過去とは――(第二話『友待つ雪』)。おりょうの旦那伊佐三に浮気の疑惑が!? つる家の面々を巻き込んだ事の真相とは――(第三話『寒紅』)。登龍楼との料理の競い合いを行うこととなったつる屋。澪が生み出す渾身の料理は――(第四話『今朝の春』)。全四話を収録した大好評シリーズ第四弾!!(粗筋紹介より引用)

大人気シリーズ「みをつくし料理帖」第四弾。2010年9月刊行、書き下ろし。



大ヒット中のシリーズ四作目。小松原の正体が明らかになったり、野江の過去が少しずつ明らかになったりと、現在の物語の進展と、過去に隠された過去が少しずつ明らかになっていく二つの流れがしっかりしているから、読んでいても飽きが来ない。澪が料理に対して一途に突き進むところもまたよし。運命に翻弄されつつ、定めを乗り越えようと努力するその姿が美しい。このシリーズ、どういう結末を迎えるのかわからないが、しばらくはじっくりと楽しみたい。

それにしても、澪が作る料理は相変わらずうまそう。小説を読んで、こんなに腹が空くシリーズも珍しい。