平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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シドニイ・シェルドン『真夜中の向う側』上下(ハヤカワ文庫NV)

真夜中の向う側 上 (ハヤカワ文庫 NV 243)

真夜中の向う側 上 (ハヤカワ文庫 NV 243)

真夜中の向う側 下    ハヤカワ文庫 NV 244

真夜中の向う側 下  ハヤカワ文庫 NV 244

マルセイユの貧家に生まれたノエルは、天性の美貌と才能を駆使し、やがてフランスを代表とする大女優となった。飽くことなく地位と名声を求めた異常なまでの情熱。その陰には、彼女の純粋な愛を裏切ったアメリカ人パイロット、ラリーへの熱い復讐心があった。しかし彼はすでに帰国、国務省に勤める有能な秘書キャサリンと結ばれていた……。見えざる糸に操られるように、二人の女性と一人の男が壮大な運命のドラマを織り上げる! 第二次大戦前後の激動期の欧米を舞台に多彩な人物を配して描く絢爛たるサスペンス・ロマン。同名映画の原作。(上巻粗筋より引用)

私立探偵の調査でラリーの失職を知ったノエルは、ついに彼を巧妙な罠へと落しこんだ。ギリシャの大富豪デミリスの愛人となり、王侯貴族のような生活を送っていても、胸中の復讐の炎は沈めようがなかったのだ。デミリスのお抱えパイロットとして雇わせた彼に、ノエルは次々と冷酷な仕打ちを加えていく。だが、やがてこの陰謀劇が形を変えた時、意外な運命がキャサリンを襲うのだった!

『華麗なる血統』『鏡の中の他人』などの傑出したエンターテインメントを送り続ける著者が、絶妙のストーリイテリングで綴る空前の大ベストセラー!(下巻粗筋より引用)

大ベストセラー作家、シェルドンの第2作長編。1974年、アメリカで出版されると同時にベストセラーとなった作品を1977年に翻訳された作品の文庫化。チャールズ・ジャロット監督、マリー・フランス・ビジェ主演で映画化されている。



『東西ミステリーベスト100』(文春文庫)で190位ぐらいに入っていたから買った記憶がある。シェルダン名義でアカデミー出版から「超訳」がたくさん出ていたが、ああいう形で話題になると逆に読みたくないと思ってしまう天の邪鬼な性格なので、買うだけ買って放置していたのだが、ダンボールの底から出てきたので、今頃読んでみることに。

二人の女性と一人の男性が繰り広げる、世界を股に掛けた愛と憎悪のドラマ。場面の切替が早く、物語がスピーディーに展開されるので、上下巻でも飽きることなく読み進められる。特にこの後はどうなるだろう、というところで場面が切り替わるので、続きが気になって結局ページをめくってしまう構成の巧みさは見事。

ただ読み終わってしまうと、「あー、面白かった」という一言で終わってしまう軽さがあるのは否めない。逆に言えば、この軽さがあるからこそ、ベストセラーになったという気もする。

ノンストップで読める面白い作品を求めたいのなら最適な作品。映画にするよりも、連続テレビドラマにして長期間放送した方が受けたんじゃないだろうか。