平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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逢坂剛『禿鷹狩り 禿鷹IV』(文藝春秋)

禿鷹狩り―禿鷹〈4〉 (禿鷹 (4))

禿鷹狩り―禿鷹〈4〉 (禿鷹 (4))

渋谷、神宮警察署の鼻つまみ、禿富鷹秋、通称ハゲタカ。彼を抹殺するために、ある人物が送られてきた。ヤクザも南米マフィアも手玉に取る男の前に、最強の刺客があらわれる。

週刊文春」2005年1月27日号〜2006年1月19日号掲載。禿鷹シリーズ最終巻。



極悪警部補、禿富鷹秋。殺しても死なないような男なので、まさかこのシリーズがたった4冊で終わってしまうとは思わなかった。最終巻はタイトル通り、禿鷹を狙う最強(?)の刺客が登場。それでも精神的優位は常に禿鷹のほうにあるのだから大したもの。だからこそ、この終わり方はとても残念である。

ここからは勝手な深読みだが、作者は当初ここでシリーズを終わらせるつもりではなかったと思われる。プロローグから出てくる登場人物の扱いが、あまりにもおかしいからだ。物語のヒキとなるはずのプロローグで出てくる登場人物だ。もっと、うまい使い方をするはずだ。連載の途中から路線を変更したに違いない。他にも、結末の唐突な終わり方、とってつけたようなエピローグなど、辻褄を合わせたような部分が目立つ。途中途中のエピソードは面白いのに、読み終わった後に釈然としないものが残るのは、作者によるいきなりの方向転換が原因に違いない。

せっかくの人気シリーズ、強すぎるくらい個性的なキャラクターが出てきたシリーズを、ここで終わらせてしまったのは勿体ない。一匹狼による、巨悪へのアウトローな闘いを、もっと見たかった。