- 作者: 逢坂剛
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/07
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
「週刊文春」2005年1月27日号〜2006年1月19日号掲載。禿鷹シリーズ最終巻。
極悪警部補、禿富鷹秋。殺しても死なないような男なので、まさかこのシリーズがたった4冊で終わってしまうとは思わなかった。最終巻はタイトル通り、禿鷹を狙う最強(?)の刺客が登場。それでも精神的優位は常に禿鷹のほうにあるのだから大したもの。だからこそ、この終わり方はとても残念である。
ここからは勝手な深読みだが、作者は当初ここでシリーズを終わらせるつもりではなかったと思われる。プロローグから出てくる登場人物の扱いが、あまりにもおかしいからだ。物語のヒキとなるはずのプロローグで出てくる登場人物だ。もっと、うまい使い方をするはずだ。連載の途中から路線を変更したに違いない。他にも、結末の唐突な終わり方、とってつけたようなエピローグなど、辻褄を合わせたような部分が目立つ。途中途中のエピソードは面白いのに、読み終わった後に釈然としないものが残るのは、作者によるいきなりの方向転換が原因に違いない。
せっかくの人気シリーズ、強すぎるくらい個性的なキャラクターが出てきたシリーズを、ここで終わらせてしまったのは勿体ない。一匹狼による、巨悪へのアウトローな闘いを、もっと見たかった。