平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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ジェフリー・ディーヴァ―『ウォッチメイカー』上下(文春文庫)

ウォッチメイカー〈上〉 (文春文庫)

ウォッチメイカー〈上〉 (文春文庫)

ウォッチメイカー〈下〉 (文春文庫)

ウォッチメイカー〈下〉 (文春文庫)

“ウォッチメイカー”と名乗る殺人者あらわる! 手口は残忍で、いずれの現場にもアンティークの時計が残されていた。やがて犯人が同じ時計を10個買っていることが判明、被害者候補はあと8人いる――尋問の天才ダンスとともに、ライムはウォッチメイカー阻止に奔走する。2007年度のミステリ各賞を総なめにしたシリーズ第7弾。(上巻粗筋紹介より引用)

サックスは別の事件を抱えていた。公認会計士が自殺に擬装して殺された事件には、NY市警の腐敗警官が関わっているらしい。捜査を続けるサックスの身に危険が迫る。二つの事件はどう交差しているのか!? どんでん返しに次ぐどんでん返し。あまりに緻密な犯罪計画で、読者を驚愕の淵に叩き込んだ傑作ミステリ。(下巻粗筋紹介より引用)

2006年発表。リンカーン・ライムシリーズ第7作目。2007年10月、邦訳の単行本発売。2010年11月、文庫化。



名前だけは知っていたが、ライムシリーズを読むのは初めて。シリーズ最高傑作と言われている本書を手に取ってみたが、こんなに面白いとは思わなかった。これは他のシリーズも読んでみたくなる。

ライムが追いかけるのは、残忍な殺人者で、アンティークの時計を残す“ウォッチメイカー”。かたやサックスが追いかけるのは、偽装自殺の事件から浮かび上がったNY市警の腐敗捜査。どちらも意外な展開が待ち受けており、二つが意外なところでぶつかり、さらなるどんでん返しが待ち受けている。

スピード、サスペンスは一級品。登場人物は魅力的。先の読めないプロットが最高。そして全く予想もできない展開に驚愕。まさに言うことなしの傑作である。上下巻の長さが全く苦にならない。いや、むしろ読み終わって、これで終わりなのかと残念な気持ちになるぐらい。まあ、最後は筆が滑りすぎたという気がしなくもないが。

シリーズものだから、最初から読んだ方が書く登場人物の背景がわかっただろうが、全く知らない自分でもほぼ登場人物の背景はつかめたし、問題ないだろう。これは下手に感想を書くよりも、いいから手に取れ、絶対後悔しない、と言った方がいい作品。