- 作者: 夏樹静子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1991/01
- メディア: 文庫
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ラブホテルでホステスが、農薬入りのジュースを飲んで死んだ。一緒にいた男性は、宮内庁勤務の初老の男。当然疑いがかかるが、事件は意外な方向へ転回する。「毒」。
常に会社社長である夫に虐げられてきた妻。浮気相手の子供を、社長の子供であるとして遺言状を書かせた愛人。そして社長は、自宅で階段から転落死した。「夢」。
一人暮らしの男が飼い犬とともに殺された。見つけたのは養子である女性。容疑はもう一人の養子にかかった。警察は犬を解剖して死亡時刻を推定する。「犬」。
大勢の釣り客の前で、男性が車ごと湖に転落して死亡した。彼には永年付き合っていた不倫相手がいた。「湖」。
月刊誌に掲載された短編をまとめ、1988年に単行本化された短編集の文庫化。
珍しく一文字だけのタイトルばかりだが、「毒」「犬」「夢」は単行本にまとめられたときに改題されたとのこと。一文字として統一したという以外の意味があったのかは、ちょっとわからない。そのうち3編を表題にした意味も不明である。
どの作品も、ちょっとしたアイデアを手堅くまとめたという印象しかない。ちょっと面白かったのは、「毒」における毒殺トリックだろうか。