平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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伊坂幸太郎『チルドレン』(講談社)

 こういう奇跡もあるんじゃないか? まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。信じること、優しいこと、怒ること。それが報いられた瞬間の輝き。ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。(帯より引用)
 『小説現代』2002年~2004年に掲載された「バンク」「チルドレン」「レトリーバー」「チルドレンII」「イン」の5編を収録。2004年5月、単行本刊行。

 家裁調査官陣内が主人公の連作短編集。ただし「バンク」「レトリーバー」「イン」はまだ陣内が大学生時代の話で、盲目の友人永瀬やその恋人優子が出てくる。「チルドレン」「チルドレンII」は調査官になってからの話で、後輩の調査官武藤が登場する。
 陣内は自信家で、間違っていようと、前言と違うことを言っていようと、全く気にしないで自分を押し通す。周りの人物は振り回されながらも、陣内のことをなんだかんだ慕い、頼りにする。
 ただ、こういう人物が苦手なんだよな。根拠のない己を持っている人物ほど、厄介なものはない。そのせいか、基本的にほのぼのする話ばかりなのに、面白く読むことができなかった。
 ということで、個人的にのれませんでした。それだけ。