- 作者: ジョンフラー,John Fuller,工藤政司
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 1994/09
- メディア: 単行本
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1983年発表。ブッカー賞最終候補作。1994年9月、翻訳刊行。
短めの長編というか、ちょっと長い中編というか。どんな病気でも治すという奇跡の井戸を訪れた巡礼たちが行ったまま誰も戻ってこない。法王庁から調査官が派遣される、という設定。しかし、ミステリとして期待してはいけない。修道院や修道士が出てくるところは『薔薇の名前』が思い浮かぶのだが、それとは別物。あくまでファンタジーである。死体が消える謎ばかり追いかけているが、巡礼たちが次々に死ぬ理由の方が不思議なんだが。エキセントリックな修道院長についても、中世だったとしても許されるのかと聞きたい。何とも摩訶不思議な作品。キリスト教に対する知識があれば、もう少し読み方も違ったような気がする。