- 作者: 笹本稜平
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2014/07/09
- メディア: 単行本
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『読楽』2012年6月号〜2013年7月号連載。単行本化にあたり加筆修正し、2014年7月刊行。
『所轄魂』に続く第二弾。所轄の刑事である父親と、キャリア警視である息子の活躍が面白く、第二弾に期待をしていたのだが、読み終わってがっかりした。読んでいて面白い部分はあるのだが、結局警察上層部との闘いになってしまう展開なのである。所轄と警視庁捜査一課との意地のぶつかり合いなら楽しめるのだが、上層部の悪玉とのぶつかり合いでは、「越境捜査」や「素行調査官」と何の変わりもないわけである。これを「所轄魂」シリーズでやる意味は無い。
警視庁特命捜査対策室管理官である葛木俊史のハッスルぶりには好感が持てるし、所轄の意地を見せようとする葛木邦彦たちの奮闘には応援を送りたくなる。読んでいて楽しいことも事実。事件の真相も少々意外なところに着地しており、驚きはあった。多分先の不満は、笹本作品を追いかけているからかもしれない。ただ、ただ、作者にはこの手の「逃げ」をしないでほしいのだ。現場の苦労を知らずに階級意識を持つキャリアを叩くのは楽しいだろうが、このシリーズはそれとは別の方向で頑張ってほしかった。