デジタル機器に囲まれた日常の疲れを癒し、本来の人間性を取り戻す「デジタルデトックス」のためい孤島にやってきたメンバーが次々に死を遂げる。偶然その場に居合わせたミステリ作家がそのすべてを目撃するのだが、なぜかメンバーたちの目には彼の姿が映らないらしい……。(粗筋紹介より引用)
2021年、第7回金車・島田荘司推理小説賞受賞。同年、台湾で刊行。2023年9月、邦訳刊行。
作者の
妻を亡くして引退したベストセラー作家周云生が目を覚ますと、そこは見知らぬ孤島。そこへやってきた集団は、5日間の「デジタル・デトックス」のために集まってきたメンバー。メンバー同士の会話やスキンシップ、読書、メモ、音楽、化粧などは禁止。食事は一日二食の菜食のみ。時計はなく、銅鑼で合図。瞑想などの講義がある。泊まる場所は3Dプリンターで作られた3階建ての建物。そこへ集まってきた男女メンバーは、周云生の姿が映っていなかった。そして次の日、殺人事件が発生する。
何とも奇妙な設定の舞台ではあるが、その後は連続殺人事件が発生する、クローズドサークル・ミステリとしては古い造りとなっている。いったいこれのどこが「21世紀の「十角館」」なんだろうと思っていたら、謎解きで島田荘司が好きそうな解決が待っている。
うーん、2年前に書かれた作品、ということも考慮したら、この解決はまあありかな、とは思う。ただ、本格ミステリとしての面白さは、欠片もないよね、これ。個人的な感想だが、馬鹿馬鹿しい、の一言。これを面白い、と読める人は凄いと思う。自分が古い人間なのかもしれないが。
島田荘司が絶賛、という時点でやはり読むべきではなかったと後悔。「これぞ21世紀の「十角館」だ!」なんて帯に騙された私が悪いんです。