- 作者: Gスピリッツ編集部
- 出版社/メーカー: 辰巳出版
- 発売日: 2017/11/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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2017年11月刊行。
『Gスピリッツ』に長く連載されていた人気シリーズを再編集した一冊。何といっても624頁というとてつもないボリューム。インタビューに出てくる人物もすごい。故人を除く所属レスラーのほとんどや団体関係者、さらにテレビやマスコミ関係者など、総計23人。せっかくだから並べてみると、ストロング小林、マイティ井上、寺西勇、デビル紫、佐野浅太郎、アニマル浜口、鶴見五郎、大位山勝三、稲妻二郎、米村天心、将軍KYワカマツ、高杉正彦、マッハ隼人、長谷川保夫(リングアナウンサー)、菊池孝(プロレス評論家)、石川雅清(元デイリースポーツ運動部記者)、森忠大(元TBSテレビ『TWWAプロレス中継』プロデューサー)、茨城清志(元『プロレス&ボクシング』記者)、田中元和(元東京12チャンネル『国際プロレスアワー』プロデューサー)、飯橋一敏(リングアナウンサー)、根本武彦(元国際プロレス営業部)、遠藤光男(レフェリー)、門馬忠雄(元東京スポーツ運動部記者)。吉原功社長やラッシャー木村やグレート草津、サンダー杉山などはすでに故人なので、残念ながらインタビューはなし。阿修羅原のインタビューは読みたかったところだが、残念。アポロ菅原は見つからなかったのだろうか、それとも拒否されたのだろうか。インタビューを受けた後に亡くなったのが米村天心、デビル紫、菊地孝。大剛鉄之助のインタビューが大剛の都合(拒否)で中止になったのは残念だった。
1966年10月に設立され、1981年8月、北海道の羅臼町で終焉を迎えたプロレス団体が国際プロレスである。日本プロレスや新日本プロレス、全日本プロレスといった団体の常に下に位置していた、悲運の団体である。様々な証言から、国際プロレスというのがどういう団体だったかを読み解くことができる。
国際プロレスはテレビが映らなかったので、雑誌でしか知らない。確か1回だけ、見に行った記憶がある。ラッシャー木村が防衛戦をやっていたような……。ほとんど覚えていない。木村と草津がタッグを組んでリーグ戦に参加していたのは全日本プロレス中継で見た。もちろん、国際軍団も覚えているが、ラッシャー木村を見ると、頑丈そうだけど不器用だな、と思ったものだ。
デビル紫なんてマイナー中のマイナーどころをよくぞ喋らせた、と拍手したい。佐野浅太郎は初めて名前を聞いた。よく探してきたものだと思ってしまう。
各選手のプロレス感が出ていて、非常に面白い。猪木を嫌ったマイティ井上、全日本を嫌った寺西勇といったあたりを比べてみると、多種多様な人材がそろっていたのだなと思ってしまう。ただ、華のある選手がいなかった、知らない人でも振り向かせることができるほどの存在感をもった選手がいなかったというのが、国際プロレスの悲劇だったのだろう。あと、金が無いことか。日本プロレスからは徹底的に妨害され、全日本プロレスには利用され、新日本プロレスにはしゃぶりつくされて最後には崩壊させられ……。
それにしても、全部読んでみると一番悪いのはグレート草津だったとしか思えない(苦笑)。あと、剛竜馬が何一つ評価されていない点が物哀しい(何を評価すればいいんだと聞かれると、答えられないが)。
残念なのは、いつインタビューをしたかが書かれていないこと。ホームページ上でもいいから、追記してくれないかな。
ということで、昭和プロレスファンなら絶対買い。平成プロレスファンでも、ぜひ読んでほしい一冊だ。労作という言葉がぴったりくる。
それにしてもプロレスって、何年経っても語ることがあるんだなと思ってしまう次第。もちろん、それは楽しいし、嬉しいことである。
ちなみに『Gスピリッツ』Vol.46もお薦め。特集が「1981年8月9日以降の国際プロレス」であり、特にラッシャー木村の素顔や移籍の真相を語った、次男のインタビューはとても貴重である。