
- 作者: 貴志祐介
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町の外に出てはならない――禁を犯した子どもたちに倫理委員会の手が伸びる。記憶を操り、危険な兆候を見せた子どもを排除することで実現した見せかけの安定。外界で繁栄するグロテスクな生物の正体と、空恐ろしい伝説の真意が明らかにされるとき、「神の力」が孕む底なしの暗黒が暴れ狂いだそうとしていた。(中間粗筋紹介より引用)
夏祭りの夜に起きた大殺戮。悲鳴と鳴咽に包まれた町を後にして、選ばれし者は目的の地へと急ぐ。それが何よりも残酷であろうとも、真実に近付くために。流血で塗り固められた大地の上でもなお、人類は生き抜かなければならない。構想30年、想像力の限りを尽くして描かれた五感と魂を揺さぶる記念碑的傑作!(下巻粗筋紹介より引用)
2008年1月、講談社より書き下ろし刊行。2008年、第29回日本SF大賞受賞。2009年8月、ノベルス化。2011年1月、講談社文庫化。
タイトルはドボルザークの交響曲第9番『新世界より』から採られた。デビュー前から構想を温めており、1986年には120枚の中編「凍った嘴」(岸裕介名義)のタイトルで第12回ハヤカワSFコンテストに応募し、佳作受賞。ただし活字化はされなかった。本書は2000枚近い分量まで膨れ上がっているが、内容を見ると確かにそれぐらいの分量は必要であり、むしろこのアイディアを中編で仕上げようとしたことが無茶であった。
主人公渡辺早季の手記で、「I 若葉の季節」「II 夏闇」「III 深秋」「IV 冬の遠雷」「V劫火」「VI 闇に燃えし篝火は」の六章仕立てとなっている。I、IIが12歳、III、IVが14歳、そしてV、VIが26歳である。
最初こそややもどかしさを感じたものの、上巻の途中からは一気に読んだ。読み終わってみると、ただただすごい、としか言いようがない。よくぞここまで考えて、描き上げたものだ。一つ一つのアイディア自体には既存のものが含まれるかもしれないが、それでもこれだけのものをまとめ上げるには、並々ならぬ苦労と時間が必要だろう。
正直言って、それ以上の言葉が思いつかない。構想力と筆力にただただ脱帽。やっぱりSFには、これぐらいの壮大な世界を求めたい。