平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

貴志祐介『ダークゾーン』(ノン・ノベル)

 

ダークゾーン (ノン・ノベル)

ダークゾーン (ノン・ノベル)

 

  「戦え。戦い続けろ」将棋プロ棋士の卵・塚田は、赤い異形の戦士と化した十七人の仲間と共に、闇の中で目覚めた。謎の廃墟を舞台に開始された青い軍団との闘い。敵として生き返る「駒」、戦果に応じた強力化など、奇妙なルールのもと、現実世界との繋がりが見えぬまま続く七番勝負。それは、まるで異次元の将棋だった。頭脳戦、心理戦、そして奇襲戦。コンクリートの要塞"軍艦島"で繰り広げられる地獄のバトル。これは神の仕掛けか、悪魔の所業か。エンターテインメント界の鬼才が、圧巻の世界観で贈る最強長編。(粗筋紹介より引用)
 『小説NON』平成20年11月号~22年3月号まで連載。連載時タイトル『ダーク・ゾーン』。加筆訂正後、2011年2月、単行本刊行。2011年、第23回将棋ペンクラブ大賞特別賞受賞。2012年9月、ノベルス化。

 

 ペンクラブ大賞特別賞を受賞したことから興味はあったのだが、ようやく手に取ることができた。奨励会三段の棋士の卵が主人公という点に興味を持っていたのだが、バトルシーンが将棋のようでちょっと違った点は個人的に残念。まあ、勝手に勘違いしていただけのことだが。
 それを抜きにしても、バトル物ってあんまり好きじゃないので、今一つのれなかったというのが本当のところ。現実世界とリンクしている部分だけ、楽しめたかな。途中で挟まれている「断章」の展開の方が気になって仕方がなかった。
 作者も書いているのだが、将棋界のシステムにケチをつけているけれども(このシステムに関する批判については昔から言われている事であり、目新しいものではない)、そういう作品に特別賞を与えた将棋ペンクラブ協会は懐が深いな。