
- 作者: 早坂吝
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/09/07
- メディア: 新書
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2018年9月、書き下ろし刊行。
援交探偵上木らいちシリーズ最新作。今回はガラケーに死ぬというメールが送られた1週間後に殺されるという劇場型犯罪。上木らいちが捜査に乗り出すとともに、前作で心にダメージを追って休職中の藍川警部補が「青の館」の宿泊客とともに推理を展開する。
前作までの登場人物たちや舞台が登場(『RPGスクール』まで絡む)。さらに作者自身までテレビのコメンテータとして登場するメタな展開。しかも「読者への挑戦状」まで登場。一方連続殺人事件の謎の方は、あまりにも情けないというか……。こんな動機で連続殺人を犯すなよ、と言いたくなるが、小説上の登場人物に行っても無駄か。
ある意味でらいちシリーズの総集編といっていいような内容。前作のような一発大物といったものはなく、逆にジャブのように細かいネタやトリックが繰り出される印象。企業名云々のお約束には笑っちゃった。「騙される喜びを味わいたいから推理はしないという軟弱な読者よ」という挑発にも、笑うしかないよね。それでもバカバカしいから、推理はしないよ(苦笑)。犯人なんてどうでもいいやと思わせる内容なのに、真面目に推理を繰り広げる展開をどう読めばいいのか。
何とも理解し難い作品だが、どう読めばいいのかな。バカバカしいと笑っちゃえばいいのだが、それだけではない不思議な印象を持たせる作品。とはいえ、傑作とはとてもじゃないが言えないが。