平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

歌野晶午『密室殺人ゲーム2.0』(講談社ノベルス)

密室殺人ゲーム2.0 (講談社ノベルス ウC-)

密室殺人ゲーム2.0 (講談社ノベルス ウC-)

「頭狂人」「044APD」「aXe」「ザンギャ君」「伴道全教授」奇妙すぎるニックネームの5人が、日夜チャット上で「とびきりのトリック」を出題しあう推理合戦! ただし、このゲームが特殊なのは各々の参加者がトリックを披露するため、殺人を実行するということ。究極の推理ゲームが行き着く衝撃の結末とは。(粗筋紹介より引用)

「Q1 次は誰が殺しますか?」「Q2 密室などない」「Q3 切り裂きジャック三十分の孤独」「Q4 相当な悪魔」「Q5 三つの閂」「Q6 密室よ、さらば」「Q? そして扉が開かれた」を収録。『メフィスト』2007年9月号〜2009年1月号掲載。大幅加筆、訂正後の2009年8月、講談社ノベルスより刊行。2010年、第10回本格ミステリ大賞(小説部門)受賞。



『密室殺人ゲーム王手飛車取り』の続編、というかシリーズものの続き。別に前作を読んでいなくても普通に読むことができる。とはいえ、読んだ方がびっくりするとは言える。
内容は推理クイズ合戦なのだが、「ありとあらゆる事を疑う」ことを前提とした本格ミステリとして考えれば、究極なトリックといえないこともない。現在の世の中でも、殺人のための殺人や快楽のための殺人があるのだから、思いついたトリックを実行するだけの殺人があったっておかしくない。とはいえ、これはただのゲームだよな……というがっかり感があることも否めない。このような稚気を楽しむことができなくなってしまったのは、ノンフィクション・ノベルの読み過ぎですかね……。

本格ミステリとしてのテクニックも素晴らしいし、一つ一つの短編がよくできていてかつ長編ならではの仕掛けも有しているというところも素晴らしいのは認めるけれど、面白いとはいえなかった。これはもう、好みの問題。3部作で『マニアック』が出ているので、気が向いたら読んでみようとは思う。